三ツ沢の静かな住宅街の中に、まるでタイムスリップしたかのように佇む昭和の家屋がある。敷地内には、明治期に建てられた物置をはじめ、池や井戸、梅などの古木も植えられている。家主の高野啓子さん(50)はこのほど、こうした旧家の遺産を使って地域交流をする「昭和レトロハウス保存計画」をスタートさせた。
高野さんが生まれ育った自宅=三ツ沢東町5の41=は、江戸時代から受け継がれる旧家。約300坪の敷地には1899年(明治32年)築の物置や、1958年(昭和33年)に建てられた離れなどが現存する「レトロハウス」だ。アジサイや夏みかん、柿なども植えられており、近所では四季の移り変わりを感じられる「都会のオアシス」として知られる。
千葉県で「里山の学校」の講師をしていた高野さん。父が他界したのをきっかけに昨年、実家に戻ってきた。
「片づけをしているうちに、旧家の遺産を次世代に存続させることが使命だと感じた」。元来楽しいことが好きな性格。このほど、友人らとレトロハウスを地域交流の場として活用する計画をスタートさせた。
樹齢数百年梅の実収穫
15日には、梅の収穫祭が行われた。樹齢数百年という木には約100kgの実がなる。これまでは教師をしていた亡父が教え子や、近所、親戚などに配っていた。今年は9人がかりで収穫、ジャムや梅干しを手作りするワークショップも行った。
高野さんは「住宅街なので騒音に注意しながら企画する必要がある」と近隣に配慮しつつ、「自然と歴史、芸術の公民館を目指したい」と今後の抱負を語った。夏休みには、子ども向けに井戸水を使用したイベントを予定している。
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