木工製造業などを営む神谷コーポレーション株式会社(神谷光信代表取締役会長)=本社・六角橋=が消防団の器具置場建設用地を横浜市に寄附し、4月4日に林文子市長から感謝状が贈られた。マンション建設による立ち退きで失っていた器具置場が今年度中に再び建てられるめどがついた。
同社が寄附した土地(55・09平方メートル)=六角橋5の781の14=は、六角橋から片倉へ続く道路の中間にあり、道路沿いの好立地に位置する。六角橋を管轄する神奈川消防団第7分団(鈴木和興分団長)が活動時に使用する、消防車両や資機材などを保管するための器具置場が今年度中に建てられる予定だ。
地域への恩返し
消防団は各分団からさらに班が分かれており、火災現場などにいち早く駆けつけ活動にあたる。第7分団は3班それぞれ器具置場を所有していたが、2010年、六角橋2丁目にあった器具置場がマンション建設に伴い立ち退きに。残った2カ所を共用しているのを知った神谷会長が来客用駐車場として使用していた土地を「器具置場建設用地として寄附したい」と市へ持ちかけ、5年越しの実現に至った。
終戦直前の1942年から、神奈川区内で70年以上続く同社。神谷会長は火災のないことが一番とした上で、「火事はすべてを奪ってしまう。長年地域で商売させていただいてきたので、少しでも恩返しできれば」と寄附への思いを語る。
建設用地確保難しく
区内在住者らが所属する神奈川消防団には現在、10代から60代まで381人が活動しており、そのうち37人が第7分団の一員として本業の傍ら、消火活動や火災予防などに取り組んでいる。市消防局消防団課によると、六角橋5丁目は火災による被害が特に大きいと想定される「重点対策地域」に指定されている。鈴木分団長は「今回のご厚意は活動するにあたりとても助かる。団員一同感謝している」と話す。
器具置場については、老朽化をはじめ、東日本大震災をきっかけに資機材が増え手狭になっている現状がある。しかし、都心部は土地が少なく用地確保が難しい。過去30年で、器具置場の建設用地として法人または個人から市に土地の寄附があった事例は、今回含め10例。消防団課は「市民の皆様のために責任を持って消防団の充実強化に役立てていく」と、今後も消防団の環境改善や団員確保に力を注ぐとしている。
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