神奈川大学の新学長に就任した 兼子 良夫さん 川崎市在住 60歳
「学生は雁奴(がんど)たるべし」
○…学長就任から1カ月あまり。「想定はしていたが、やはり忙しい」と分刻みのスケジュールをこなす毎日だ。初仕事となった入学式では、先学の言葉を引用しながら「神奈川大学の学生は雁奴たるべし」とあいさつ。新入生に対し、未来の社会を見据え、自分の進む道をしっかり考えることを求めた。「本学は交通の便がよく研究環境も整っているので、全国から優秀な教員が集まってくる」と胸を張る。
○…「あの最上川で泳いでいたよ」。「おしん」のロケ地となった山形県大江町の出身。小3のとき、東京タワーを見て驚いた。都会にあこがれ「ニューヨークで赤いスポーツカーに乗ること」を作文に書いたことも。王・長嶋を見て野球に夢中になったが、中高はバスケットボール部で汗を流した。
○…進学した同志社大では「たくさん遊んだし、毎日図書館にも通った」と笑う。世界最大級の学生組織AIESECに所属し、海外インターンシップ事業の運営にも携わった。「文化の違いはあるが、根本にある『思いやりの心』は世界共通だ」と述べ、「世の中には様々な価値観が存在する。苦い思い出もあるが、失敗を経験するのも学生のうちだよ」と振り返る。
○…大学卒業後は、尊敬する経済学者の助言を受け研究者の道へ。大阪大で「博士(経済学)」の学位を取得。大分大助教授を経て2003年に神奈川大へ。これまで横浜キャンパス共通教養系科目教育協議会会長や経済学部長、評議員、理事などの要職を歴任。専門は財政学と地方財政で論文・著書多数。
○…一人息子はすでに独立。多忙を極める中、趣味の絵画鑑賞が息抜き。「横山大観は素晴らしい」。ゼミ生を引き連れ、上野美術館を訪れることもある。3年間の任期中に創立90周年を迎える。「人材育成が原点。最高の教育環境を提供し、教養ある人物を輩出していきたい」と抱負を語った。
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