かつて宿場町として栄えた神奈川宿から藤沢宿までの各地域で活動する市民団体らが今年1月から進めてきた立体地形図の製作が、大詰めを迎えている。6月末には完成する見込みで、それぞれの宿場の地形図が一つにつなげられ、藤沢公民館分館の「済美館」に展示される予定だ。
地形図の製作を進めている「武相宿場連携まつり実行委員会」は、宿場町があった地域で活動している市民団体らが「横の繋がりを強化し東海道域を盛り上げよう」と昨年立ち上げた。総勢25人が参加し、神奈川区からは東海道の魅力づくりや発信に取り組んでいる「東海道 風景街道」で事務局長を務める湯川厚子さん=立町在住=らが製作に携わっている。
保土ケ谷区から参加している近藤博昭さんによると、「江戸時代末期の東海道の地図や写真が現存しない」ため、今回のプロジェクトでは明治14年頃の地図の等高線などを元に、4千分の1サイズで各宿場の市民団体らが地形図の製作を進めてきた。
身近な材料で細部忠実に
地形図は、江戸時代末期の東海道を真上から見た景色をイメージし、メンバーのアイデアなどを取り入れながら作っているという。
湯川さんは、神奈川区が以前開いた神奈川宿遊学セミナーの運営に携わっていた経験から、神奈川宿の歴史に詳しく、過去にも神奈川宿の地形図を製作した経験がある。風景街道の活動でも、行政が発行する冊子で神奈川宿に関する記述の監修なども行うほどだ。
新子安から始まる神奈川宿部分は約1・1m。他の宿場町と比べ住宅の数が最も多く、神社仏閣が軒を連ねる。身近なものを使った手作りの部分も多く、「鳥居は植木鉢の底に敷くネットの網目を切り取ったものを使っている」と湯川さん。また、4つの宿場町で唯一海があるため、木の端材で船も浮かべたほか「天皇に献上する鯛がよく獲れたのでいけすが必要だったし、漁師町には干している網も置きたかった」と、それらを水切りネットで作った。
区制90年の活用も模索
完成した地形図は全長6・5mの模型となり、済美館=藤沢市=で展示される。湯川さんは「保土ケ谷区では地元のイベントで披露する機会がある。神奈川区でも披露する機会があれば」と話す。
来年は神奈川区が誕生して90年という節目の年。「地形図を通して神奈川宿の歴史に触れることで、住んでいるまちに愛着がわく」。風景街道のメンバーには行政職員もいるため、関連イベントでの披露など模索したいとしている。
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