あけぼの通商店会の事業部長として尽力する 金井 辰己さん 大口通在住 64歳
商店会を次世代に
○…かつて「ハマの台所」と呼ばれるなど、戦後間もなくから地元民に愛されてきた商店会の事業部長。昭和50年頃には約50店舗が軒を連ねたが、今では20店舗に減少。商店会の存続自体が不透明な中、事務所の新築に着手し、このほど完成させた。「先代からの念願で、『あけぼの』の名を次世代へ託す気持ちが大きかった」と新事務所建設にかける思いを語る。
○…10人兄姉の末っ子として東京都品川区で生まれた。家業の菓子店を継ごうと決めていたが、売り上げは厳しくなる一方。将来性を考え高校に進学し、魚屋や寿司屋のアルバイトに精を出した。しかし、広く商売を学ぼうとデパート勤めをしていたころ、近くに日本初の回転寿司店がオープンし、独立の夢が絶たれた。「500円で提供する予定だったが、回転寿司は100円。これじゃ、太刀打ちできないと思った」
○…大口で乾物屋を営んでいた親戚の紹介で、24才のときに食堂の娘と結婚。それから退職するまでの2年間、デパート内にあった中華料理店に出向いては、料理長の教えを受けていた。秘伝のレシピを使ったエビチリや回鍋肉などをメニューに加え、食堂は大繁盛。今も名物・大口餃子の味を守っている。「売れば売るほど赤字だけど、義父の遺言で10年以上も価格を据え置きにしています」と笑う。
○…商店会長を務めた先代が他界し、3年前から商店会の役員に。防犯カメラやスタンドパイプ、AEDの設置など、客に安心して買い物をしてもらうための事業を次々と企画してきた。娘は嫁ぎ、息子は脱サラで中華料理「寺尾屋」の後継者となった。「孫がほしい」。目下の夢は4代目の顔を見ることだ。趣味は将棋。「老人会に入ったら、グラウンドゴルフでも始めようかな」と好奇心は尽きない。既存の店舗を残しつつ、いかに空き店舗を活用するか―アイデアマンの活躍に期待がかかる。
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