河川が氾濫し甚大な被害をもたらした台風19号で、全国的に浸水被害が想定と一致したことを受け、横浜市もハザードマップの重要性を高めている。市内河川の氾濫はなかったが、市は管理する28河川において、「規模を超える雨で溢水もあり得る」と言及。マップの活用は必須となるが、浸水区域でも浸透していない現状がある。
市内には、国・県・市と管理のわかれる一級・二級・準用の3区分計8水系56河川が流れる。市は管理するうち、治水対策を必要とする河川を「計画28河川」として選定。1時間あたり約50ミリの雨に対応するため、河道の拡幅や、雨水を貯める遊水地などの整備を進めている。万全を期すが、市危機管理担当は「こうした改修の規模を超える降雨が発生したら溢れることも想定される」と今後の可能性に言及する。
実際、9月3日から4日未明にかけての大雨では、栄区で1時間100ミリの猛烈な雨を観測。15号と19号の接近時には、河川に関しての避難準備・高齢者避難開始となる警戒レベル3、避難勧告となるレベル4が、18区中10区で発令されており、それだけ水位が上がっていたことを示す。
課題は周知
市作成の洪水ハザードマップは、国と県による浸水想定に、市による準用河川の想定も加え公表している。現在、水系ごとに順次改訂され、2021年度の宮川、侍従川水系で完了予定。その他の地区では、対象となる浸水区域の全約49万世帯・事業所に配布している。
一般向けにも区役所などで配架し、ホームページで閲覧も可能だが、「入手方法や使い方についての問い合わせが多く、内容まで浸透していない」と市担当者。鶴見区の浸水想定区域に住む70代夫婦は「自宅が浸水するのはわかるが、字も細かく、見方もよくわからない」と活用しきれていない様子を明かす。
市は今年度、浸水リスクを明記し、マップを見ながら使用する啓発リーフレットを作成。現在、避難者行動調査も行っており、認知度アップや具体的な活用法について考えていく構えだ。
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