地域への恩返しを合言葉に、社会的な弱者とされる人々を食を通じて応援しよう―。新型コロナウイルスの流行に伴う外出自粛要請などで経済的に困窮しているひとり親家庭を支援しようと、市内の飲食店5店舗が9日から13日までの5日間、昼食の無料提供サービスを実施した。
発案したのは、東神奈川駅近くで洋食レストラン「KUBOTA食堂」を経営する窪田俊治さん。「ハッピーテークアウト」と題して、各店舗が1日20食の弁当を無料で提供した。
プロジェクトを行うきっかけとなったのは、窪田さんが2人の小学生を育てる知人のシングルマザーから聞いた悩みだった。外出自粛の影響で自宅にこもりがちになる中、育ち盛りの子どもたちの栄養バランスを考えながら1日3食を用意することが経済的な負担としてのしかかっていると知り、「同じような境遇に置かれた人たちを支援できないか」思い立った。
窪田さんの呼びかけに、鶴見区や中区の飲食店仲間4軒も賛同。各店が趣向を凝らしたオリジナルの弁当を用意した。KUBOTA食堂では、イベリコ豚の中でも希少部位とされる「ベジョータ」の中落カルビを使った1500円相当の弁当を提供。「通常販売時の金額を聞いて抵抗を感じられる方もいらっしゃいましたが、大変なこの時期だからこそ、おいしい食事を通じて元気になってもらいたかった」と窪田さんは話す。
地域への恩返しを
大衆食堂として75年前に創業した同店は、造船所や市場で働く労働者のために朝4時から店を開けるなど、地域に欠かせない食事処として繁盛した。3代目として店を継いだ窪田さんは、「この店の歴史を知っているからこそ、いままで支えてくれた地域への恩返しがしたいという気持ちは強い」という。
飲食店にとっては、「鬼門」とされる2月を乗り切った矢先のコロナ禍だった。同店も、歓送迎会などの団体予約が軒並みキャンセルとなり、3月・4月の売り上げは例年の7割から8割ほどに減少。先行きの不安を感じることもあるが、窪田さんは「支えあいの気持ちを忘れることなく頑張っていきたい」と前を向く。
5月30日(土)と31日(日)にも、支援プロジェクトの第2弾として各店が同様のサービスを提供する。
問い合わせは窪田さん【携帯電話】090・4600・2370
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