2021年東京パラリンピックに開催国枠として初出場する5人制サッカー(ブラインドサッカー)競技で、日本代表入りが有力視されている田中章仁選手と児童の交流プロジェクトが、7日に神奈川小学校で開催された。参加した6年生は、「障害があっても、みんな同じ人間、同じ仲間」と語る田中選手の言葉に耳を傾け、共生社会に対する理解を深めた。
同校は、スポーツ庁が全国の自治体に委託している「オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業」のモデル校として、オリンピック・パラリンピックに関連した教育に取り組む推進校の一つ。来年8月のパラリンピック開催まで1年を切るなか、他者との共感や障害者スポーツへの理解、柔軟な考え方を養う機会として横浜市が主催した。
6年1組の児童を対象に実施された交流プロジェクトでは、田中選手がブラインドサッカーや自身の障害について説明。講演の最中には、田中選手の鼓動を手で感じられる触覚体験や、リアクションを伝えられる触覚テーブルと呼ばれる装置を使って児童と田中選手がコミュニケーションを図る場面もあった。
田中選手は、「点字ブロックの上に人が立ち止まっていたり、自転車や看板が置いてあったりするとぶつかってしまいます」「信号を無視して横断歩道を渡る人がいると、歩き出す音で青と勘違いしてしまうことがあります」と、日常生活で注意を払ってほしいことを伝えたほか、視覚障害者から誘導を頼まれた際のポイントも説明。介助が必要な人の手を自分の肩やひじに置いてもらう、一歩前を歩くといった心がけについて、児童は真剣な表情で聞き入っていた。
駅のホームで2度転落したことがあるという田中選手は、「人が多くてまっすぐ歩けないと、方向感覚を失ってしまいます。立ち止まってきょろきょろしていたり、同じところを行ったり来たりしている場合は困っているサイン。皆さん声をかけてあげて」と呼び掛けた。
伝える難しさ実感
後半は、アイマスク姿の児童が「赤は右」「偶数は左」といった指示に従って正しい方向を向く「ブラインドゲーム」や、田中選手が行うストレッチの姿勢を、代表児童の説明をヒントに他の児童が真似する「ブラインドストレッチ」に挑戦。交流を終えた児童は、「伝えることってすごく難しいと思った」「障害を持っている人が感じている怖さを知ることができた。自分の目を大切にしたい」と振り返った。
田中選手は「鋭い質問もたくさん上がり、みんな興味を持って聞いてくれていたんだと感じた。視覚障害者がどんなことに困っているのかを知ってもらい、見えなくてもちょっとした工夫でいろんなことができるということを感じてもらえたらうれしい」と話した。
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