横浜市は、温暖化対策の一環として市立小中学校65校の校舎に太陽光発電パネルを設置する事業を今年度から開始する。そのうち地域防災拠点54校には蓄電池も導入し、災害時の非常用電源としても活用していく。
対象校は、市内小中485校のうち建て替えの予定がなく、太陽光パネルと蓄電池がない学校から選んだ。神奈川区では幸ケ谷小学校と錦台中学校の2校に設置する。公募で選ばれた東京ガスが22年度までの2年間で全校のパネル設置を完了させ、来年3月以降に順次校内の電力として使用していく予定。
学校ごとの電力使用量を踏まえ、一般家庭が1日で使用する電力量の15軒分に相当する1日平均約150kWh(キロワットアワー)の自家発電を見込む。市担当者によると、1校当たりのCO2排出量を約2割削減できるという。
設置校のうち、神奈川区の2校を含む地域防災拠点の54校には蓄電池設備も導入予定で、太陽光発電で生じた余剰電力を最大26kWh蓄えることができる。市担当者によるとスマートフォン2600台分の充電ができる容量で、災害などで停電した際は防災行政用無線など通信機器の充電や、教室などの照明にも72時間以上使えるという。
しかし、体育館などの大型照明や空調などの電力量には届かず、非常時に十分な備えがあるのか不安な声も上がる。これに対し市は、防災拠点にはすでにガソリン式とガス式の発電機が各3台ずつ導入されており、状況によるが20〜30kWhの電力を確保済みと説明。「今回の事業はあくまで温暖化対策が目的。現時点の配備でも十分との認識で、そこに蓄電池電力がプラスされる形になる」と市担当者は話す。
導入拠点3割のみ
小学校などの「地域防災拠点」は現在市内全459カ所あるが、今回の事業で蓄電池が配備されるのは導入済みの学校を含めて合計125校と3割弱にとどまる。全国で防災講座などを開く国際救急法研究所の宇田川規夫理事長は「備蓄は必然的に不足するもの。東日本大震災時にガソリンがなかった例もあり、太陽光の蓄電池設備は全校配置すべき」と指摘する。
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