神奈川大学の航空宇宙構造研究室と宇宙ロケット部が、9月18日から20日に超小型ハイブリッドロケットを打ち上げる。学生らは高度日本記録の8・3Km突破を合言葉に、3年ぶりの挑戦に向けて最終調整に余念がない。
ハイブリッドロケットは可燃性の高い火薬などでなく、プラスチック樹脂や酸化剤を燃料に用いる。有害なガスが出ないため環境に優しく爆発の危険もないが、宇宙に打ち上げるための十分な推力を得るのが難しく、実用化には至っていない。
同大学では、高野敦教授が民間企業で人工衛星の機構・構造設計に携わった経験から、着任した2014年からハイブリッドロケットの研究に乗り出した。毎年実施する打ち上げに向けて機体などのデータ分析や発射工程の確認、練習などを繰り返し、エンジンの燃焼実験は湘南ひらつかキャンパス=平塚市=で行っている。
不具合、コロナ乗り越え
18年の打ち上げでは高度6・2Kmに到達し、ハイブリッドロケット日本記録の8・3Kmにあとわずかというところまで迫った。しかし翌年はエンジントラブル、昨年はコロナ禍に見舞われ、今回は3年ぶりの挑戦となる。
使用する機体は全長約4m、外径約15cmで、全長50m前後の大型ロケットと比べると超小型。学生らは目標高度を前回の記録から2倍以上となる15Kmに設定し、日本記録超えもねらう。
「先輩たちの思い乗せ」
「2年間打ち上げができず、悔しい思いをした学生の努力に報えるよう成功させたい」と高野教授。打ち上げに向けて試行錯誤を繰り返してきた宇宙ロケット部4年の川口舞子さんも、「コロナ禍でうまくいかなかったことも多いが、打ち上げ前の最終調整の段階まで来ることができた。先輩たちの思いも胸に、日本一の高さに打ち上げたい」と意気込む。
同大学では、24年に宇宙空間の下限である高度100Km到達を目指しており、最終的には超小型衛星を宇宙に放出するための専用ロケット開発がゴールという。
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