浅野高校ラグビー部OBの長井勉さん(72・保土ケ谷区在住)が、日本のラグビー史話をつづった『キックオフの笛が聞こえる-日本のラグビーは横浜から始まった』(A5判、195ページ、1540円)を出版した。
ラグビーワールドカップ日本大会の開幕を控えた2019年9月、県ラグビー協会が中心となって横浜中華街=中区=に建立した「日本のラグビー発祥地」の記念碑が執筆のきっかけになったという永井さん。海外に住む友人に資料を送ってもらうなど、膨大な本や雑誌、新聞などから情報を集めるうちに「時を経て横浜でワールドカップの決勝戦が行われたのは、運命だったのではと思うようになった」という。
横浜とラグビーの関係は、外国人居留地だった中区山下町で英国人らがアジア初のラグビーチームとされる「横浜フットボールクラブ」を結成した1866年にさかのぼる。横浜で出会ったラグビー伝道師の2人が慶應義塾の学生に教えたことから、1899年に日本のラグビーが始まった。
同書では英国ラグビーの起源や日本ラグビー発祥の歴史、中学生の教科書に採用された日本チームの海外初遠征時の秘話をはじめ、ワールドカップの興奮を伝える現地レポートなども掲載。調査過程のエピソードや長井さんの所見を盛り込むことで、ラグビーの知識がなくても楽しめるよう工夫した労作だ。
長井さんは浅野高校から早稲田大学に進学したが、けがもありラグビー部には入部せず、OBチームで競技を楽しみレフェリーコーチの道に進んだという。現在は「認証アーキビスト」の資格を持つ専門職として、公文書管理の仕事をしながら県ラグビー協会で広報や若手の育成に尽力している。
長井さんは「横浜のラグビー史をまとめた本は初めてかもしれない。フェアプレーの精神など、ラグビーの持つスポーツの力も伝えたかった。この本を読んでラグビーを観戦し、一味違った楽しみ方を感じてもらえたら」と話した。書籍は有隣堂やインターネットで販売されている。
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