神奈川大学の航空宇宙構造研究室と宇宙ロケット部が9月19日、秋田県で超小型ハイブリッドロケットの打ち上げに成功し、日本記録の高度8・3Kmを更新する10・7Kmに到達した。
打ち上げに使用したのは、全長約4m、外径約15cm、重さ約32kgの小型機。ハイブリッドロケットは有害なガスが発生しないプラスチック樹脂や酸化剤を燃料に用いるため環境汚染の恐れが少ないとされる。製作費も比較的安価で済むが、宇宙に打ち上げるための十分な推力を得るのが難しく、実用化には至っていない。
同大は2018年、日本記録にあと2Kmほどに迫る高度6・2Kmへの打ち上げに成功したが、その後はエンジントラブルやコロナ禍に見舞われ、3年ぶりの挑戦となった。
学生らは、打ち上げの5日ほど前に到着した機体と発射台を現地で組み立て、各部の調整やリハーサルなどを行った。大型の台風14号による影響で打ち上げの判断は決行2時間前まで難航したが、午前6時に大空へと飛び立った。
機体回収は断念
同研究室の高野敦教授は「2年間打ち上げができず、その間に卒業した学生のためにも高度記録を更新できて良かった」と学生の努力をたたえる。機体は落下地点が不明で、船による捜索でも発見できず回収を断念。「前回成功していた機体分離、パラシュートの展開、GPS位置情報の取得と機体の回収が失敗したので、原因を詳しく調べて来年につなげたい」と語った。宇宙ロケット部で部長を務める大和田晃平さんは「燃焼試験でロケットエンジンの音は何回も聞いていたけれど、打ち上げの時は特別に感じた。到達高度を読み上げる際、1万mまでカウントされた瞬間は実感が湧かず、後からうれしさがこみ上げてきた。今はみんなにお疲れ様といいたい」と達成感をにじませた。
同大では14年からハイブリッドロケットの研究に乗り出し、3年後には宇宙空間の下限である高度100Km到達を目指している。最終的には、超小型衛星を宇宙に放出するための専用ロケット開発が目標という。
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