「寄り添う人いるだけで救われる」
自閉症を抱える作家の東田直樹さん(29)が16日、城郷高校の1年生を対象にオンライン講演を行った。
東田さんは会話ができない重度の自閉症で、パソコン入力や文字盤を指さす方法でコミュニケーションを行う。13歳の時に執筆した『自閉症の僕が跳びはねる理由』が30カ国以上で翻訳されるなど、世界的ベストセラーになった。
ビデオ会議システムを使い、生徒は東田さんが用意した文章を手元に置きながら講演を聴いた。東田さんは、記憶することや考えを相手に伝えることの難しさなど障害を抱えることで感じるハンディキャップについて伝え、「生きることがつらいと思ったとき、寄り添ってくれる人がいるだけで救われることがある。自分がその人だったらと想像する気持ちを大事にして」とメッセージを送った。
東田さんと共に参加した母の美紀さん(59)は、わが子が自閉症と診断されたことによる葛藤などを語り、コミュニケーションをとるために手作りの教材や文字盤を使いながら試行錯誤を続けたことなどを振り返った。
東田さんは、創作コンクールへの応募がきっかけでグリム童話賞を受賞して書籍化につながった。通信制高校に通うようになると学ぶ楽しさを知ったといい、美紀さんは「障害があっても諦めない気持ちがあれば希望が見つかる」と生徒に呼び掛けた。
城郷高校は、知的障害のある生徒が高校で学ぶ機会を広げることを目標にした県の「インクルーシブ教育実践推進校」に指定されており、昨年度と今年度に各17人を特別枠として受け入れた。講演を聴いた生徒は「自閉症の子に関心を向けるだけでなく、東田さんのお母さんのように周りの人の話を聴くことも理解を深める手段の一つだと思った。(共生社会について)前向きに考えることができるようになれば」と話していた。
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