神奈川消防団員で藍綬褒章を受章した 吉井 正弘さん 三ツ沢中町在住 70歳
積み重ねた経験を後進へ
○…40年にわたる消防団活動の功績から栄誉を手にした。「色んな方の協力や陰ながら支えてくれた家内のおかげ」と周囲への感謝を口にする。鶴屋町や反町、松本町、三ツ沢地域などを担当する第三分団に所属し、2016年から4年間は分団長として陣頭指揮を執った。今では後進に道を譲り、長年の経験を伝えている。
○…三ツ沢小、松本中の出身で、クリーニング店の4代目。消防団に所属する近所の人から誘いを受けたことが、入団のきっかけに。先代である父からは「商いとの両立ができるのか」と反対されたが、地元愛からの決意は固かった。幾度となく火災現場に駆け付けてきたが、命を救えなかったことや老夫婦が家財を失ってぼうぜんとしている姿などは、いまだに忘れられない。そのような光景に遭遇する度に、気を引き締めて厳しい訓練に励んできた。
○…モットーは「積み重ね」。本業では顧客が納得する仕上がりにこだわり、7年前に店を畳んだ際には「どこにクリーニングを頼めばいいのか」との声が寄せられ、日々地道に仕事へ向き合う姿勢が労われた瞬間でもあった。消防団との二足のわらじの原動力となったのは、持ち前の体力。「仕事も消防団も身体が資本」といい、子どもが手離れした50歳頃からはランニングを始め、複数の大会でフルマラソンの完走実績も持つ。現在も近くのクリーニング工場で働く鉄人ぶりだ。
○…来年3月には消防団員としての定年を迎える。「同じ分団で他にも来春で定年となる団員が2人いるので、みんなで元気に退団できれば」と笑顔。後進へ向けては「頑張れとは言わないので、時間がある時は少しでも顔を出して、つながりを大切にしてほしい」と優しい言葉をかけた。
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