県営野川南台団地自治会(庄司幹夫会長)が運営主体となり、2008年から本格運行を開始した「野川南台コミュニティバス『みらい』」の利用者が7月26日、10万人を突破した。運賃無償で自治会費により運行している例は珍しく、地域住民の共助により9年にわたって続いている。
野川南台地区は、約50年前に建てられた県営野川南台団地を中心とした高台にある住宅地。主要なアクセス道路は、狭く急な坂道になっている。
団地周辺には店舗や医療施設がほとんどない上に、団地入居者の高齢化が進み、日常生活に必要な移動手段の確保が必要となったことから、05年2月に同自治会が中心となり「コミュニティ交通導入推進協議会」を設立。行政と協働で取組を開始した。しかし、既存バス路線の乗り入れや、乗り合いタクシーによる運行などを検討したものの、採算性等の問題から断念。結果、自治会が運営費を賄いコミバスを運行するサービスに切り替え、08年から「野川南台コミュニティバス『みらい』」の本格運行を開始した。
川崎市が本格運行時の車両購入費等は負担。以後運行に係る経費は、自治会からの支援金や廃品回収による収益金、地域の企業からの寄付金、住民からの募金などですべて賄っている。
車両は10人乗りワゴン車で、原則月・水・金の12時台を除く9時台から15時台に郵便局、スーパー、コンビニを結んで運行。運賃は無料。運転手はボランティアが務めている。
現在同団地の全840世帯中、入居は680世帯。65歳以上の高齢者は7割を超えているという。コミバスには1日平均50〜60人の乗車があり、日によっては100人を超える日も。ほとんどが医療機関への通院や買物の利用だ。
先月26日には通算の利用者が10万人を突破した。
10万人目となった矢本桃代さん(83)は、平均週2日は利用していると言い、「10万人目と言われ、びっくりした。バスは本当に助かります」と話す。
庄司会長は「経費面は大体トントンで賄えています。ただそろそろ車両が傷みだしてきているので修理代等も考えていかないと。毎年総会で意見を聴き、次年度も継続するか否かを決めており、反対が出ないかぎりは続けていきます」と話す。
8月25日に区長らを招いて「10万人乗車記念の集い」を盛大に開く予定だ。
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