馬絹地区の花卉生産者が花の命に感謝し慰める「花供養祭」が今年100回目を迎えた。17日にはセレサ川崎農業協同組合花卉部馬絹支部主催の記念式典(吉田義一実行委員長)が行われ、関係者らは伝統を代々守ってきた先人らに感謝を表した。
1919年から途切れることなく代々続けられてきた花供養祭。毎年8月17日に泉福寺に建立されている「花供養塔」に線香をたむけ、住職の読経後、出席者が焼香し手を合わせる。今回は100回を記念して建てられた記念碑の除幕も行われた。吉田義一さんは「花も生きている。花の命をいただいて生活をさせてもらっている。その感謝の気持ちを忘れてはいけない」と話す。
関係者によると馬絹の花供養祭の歴史は全国で最も古い。花卉の生産が中断されていた戦中も出征した人に代わり、家族らが花供養の伝統を守り続けてきた。当時、供養塔は木で作られたものだったが、55年前に現在の石の供養塔を建立。同時に桜が植樹され、今でも供養塔の傍らに立つ。浮岳堯仁住職は「100年の節目に立ち会えたのも何かの縁」と話す。
式典に170人
セレサ川崎本店で開催された式典には関係者や福田紀彦市長をはじめとする来賓ら約170人が出席し、節目の年を祝った。当日は同支部に内閣総理大臣表彰や農林水産大臣表彰が贈られた。佐々木祥教支部長は「都市農業を取り巻く環境は大きく変わってきているが、馬絹の花卉生産を後世へ伝承すべくまい進する」と決意を新たにした。
馬絹は江戸時代から続く花の産地。かながわ名産100選にも選ばれる「花桃」は3月の桃の節句に合わせて花が咲くよう、地下の室を使って開花を早める技術や枝を揃えて束ねる「枝折」など、高い技術力で農林水産大臣賞を受賞するなど高い評価を得ている。
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