来年4月に施行される国の働き方改革関連法に伴い、年5日以上の有給休暇取得が義務付けられる。川崎市の2018年度「労働状況実態調査」の速報値では、有休取得率20%(4日程度)未満と回答した事業所が最も多く、対応が迫られる。こうした現状に、市はモデル企業の選定や具体的な取り組み事例をつくり、啓発していく。
18年度の労働調査(市内2000事業所対象、有効回答数818事業所)によると、有給休暇の取得率が「20%未満」と回答した事業所は、20・8%。占める割合は最も大きく、同じ傾向が近年続いている。
市担当者は「人手不足に加え、特に中小企業は、急な仕事も引き受けざるを得なく、計画的な休みを取りにくいのでは」と分析する。
市内で従業員10人規模の自動車整備工場を経営する男性は「今以上に休めば仕事が止まり、人員を増やしたくてもこれ以上人件費は増やせない。解決策もなくどうすれば」と不安を隠せない。市内商業施設内小売店の店長を務める女性は「商業施設は定休日がなく、人員もギリギリ。シフトのやりくりで有休をとるのは困難」と打ち明ける。
県社会保険労務士会川崎北支部の村野正明支部長は、「義務化は簡単なことではない。人手不足や、労働環境の改善もそうだが、経営者の中には、有休をとらせる意識があまり高くない人も多いでは」と指摘する。
市は、中小企業の生産性向上や働き方改革の普及促進につなげようと、具体的な取り組みを示すモデル事業を行っている。
選定した5社の働き方改革の取り組み、専門家のアドバイスによる改善例をまとめ、来月からウェブサイトで公開する。
また、民間企業や大学、研究機関、個人事業主などから生産性向上、働き方改革に向けた事業計画を募集。市内多数の中小企業の課題解決につながり、普及促進が期待できる企画をモデル事業として選定し、市内の中小企業で12月下旬から来年3月まで実施していく。
市担当者は「成功事例を作り、企業が取り組む契機になれば」と話す。
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