市政報告Vol.30 「空き家対策」待ったなし!川崎市の現状と課題について 川崎市議会議員 矢沢たかお
市の新年度予算を審査する第1回定例会が3月19日に閉会。新型コロナウイルス感染症対策の為、閉会予定日を前倒しする対応が取られました。今回は予算審査特別委員会における質問の中から「本市の空き家対策」についてご報告致します。
約2年で28%増
近年、地域住民からの「空き家」に関するご相談を受けることが多くなっています。
市に登録されている空き家データベースでは、2018年4月に643件だった空き家が、2020年3月には890件(28%増)と増加傾向にあります。この数字は、消防や区役所に寄せられる市民からの情報をもとに構築された「登録件数」であり、建物の損傷、草木の繁茂、ゴミ等の不法投棄など、特有の問題を有している空き家が大半を占めています。潜在的には、登録件数以上の問題のある空き家が存在すると見込まれています。
判定会議0件
各区役所などに寄せられた相談案件は、「空き家情報の把握」「現地調査」「所有者調査」「情報提供・改善依頼」などを経て、改善が認められず、特定空家等に該当する可能性が高い場合に「特定空家等判定会議」(本庁)へ付議され、勧告・命令などを経て、最終的には行政代執行となる流れとなっています。しかし、これまで判定会議に付議された案件はゼロ。増加の一途を辿る問題のある空き家が減るはずがありません。
そこで、委員会では、各区役所において、個々の事案がどの工程に、何件あり、どういった進捗状況なのかを把握していないことが、判定会議への付議件数ゼロに繋がっていると指摘。市からは「今後は、特定空家等対応フローに沿った的確な状況把握や、情報共有を行うとともに、区役所内の検討連絡協議会等も積極的に開催していく」という前向きな答弁がありました。
経済損失4.5億円?
東京大学公共政策大学院のレポート「空き家対策の費用便益分析」によると、空き家を撤去することによる社会的便益(犯罪や火災等の減少)は、1軒あたり平均約450万円であり、撤去等政策の総費用は平均約400万円。仮に、差額約50万円に本市の登録空き家890件を掛けると、約4・5億円の便益が出る計算となります。
数字はあくまで一つの参考に過ぎませんが、空き家問題は、地域住民にとっての問題だけでなく、社会全体にとって解決していかなければならない課題であると考えます。引き続き、取り組みを推進して参ります。
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3月15日
3月8日