児童虐待を防ごうと、川崎市は子どもからの相談窓口として無料通信アプリ「LINE(ライン)」の導入を検討。他都市の先行事例を踏まえ、早急に実現したい考えだ。一方で相談員との信頼関係づくりに対する懸念もあり、電話や対面を含めた多角的な対応が求められる。
新型コロナウイルスの影響で休校した今年3〜4月、学校からの虐待通告・相談件数が昨年に比べ減少した。これを受け市は潜在的な虐待の増加を懸念し、急きょLINEの開設を検討。特に、虐待を受けている子が自ら相談できる窓口を想定している。
相談者から送られてきたメッセージに対し、研修を受けた相談員が返信する仕組み。匿名で声を出さずにやり取りできるため、平時から相談しやすい環境を整えて、早期対応につなげたいとしている。
東京、相談は保護者が多数
児童虐待のLINE相談窓口は昨年、東京都で開設された。本格始動前、2週間限定で試行し結果を検証。相談対応件数は576件で、うち児童相談所に引き継いだものは8件。相談者は子ども65人、保護者277人、第三者18人、不明216人だった。
都福祉保健局の担当者は「相談者は大人が多く、子どもは全体の1〜2割。特にスマホ利用世代の中高生への周知が課題」と分析する。
市内で障害者支援に携わり、虐待相談を受けたことがある一人は「早期発見のために窓口が多いことは大切だが、本来言いにくいことを相談できるのは、相手との信頼関係があるから。LINE相談でどこまで踏み込んだ話ができるか疑問」と現場で感じる課題を指摘する。
市は開設後、寄せられた相談から危険度の高い事案を判断し、適切な機関を案内する予定。担当者は「学校などと連携して周知を図りたい」としている。低年齢の子どもへの配慮として「健診や赤ちゃん訪問で、平時からすべての家庭を把握できる仕組みがある。学齢期の子どもには地域の方や周りの方にも、見守りに協力してもらいたい」と呼びかける。
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