現在休館中の川崎市市民ミュージアムについて、川崎市は5月27日、移転して再建する方針で検討を進めていることを「等々力緑地再編整備実施計画改定骨子(案)」の中で公表した。外部の有識者らでなる検討部会の結果を受けたもので、再建の立地条件について意見交換されているが、候補地の見通しは全くたたないのが現状だ。
令和元年東日本台風で被災した同館の移転案については、昨年7月に設置された「市民ミュージアムあり方検討部会」の初回から言及されていた。現在地は2018年改定の市洪水ハザードマップで、多摩川氾濫時の想定浸水深が5〜10mと予想されている。こうした事実を受け、収蔵品に関して「現在地で扱うことは困難」とされた。また、収蔵庫と展示室を離れた場所に整備した他館の事例なども調査したが、収蔵庫と展示室は「同じ施設内に整備することが望ましい」とされ、最終的に「等々力緑地では、展示を行う等の博物館及び美術館の運営は難しい」との結論が出され、実質的に移転の方針に決まった。
同館の指定管理者は「移転は致し方ない。ハザードマップ上にも示されている通り被災リスクが高いため、もう一度同じ場所で再建するのは市民の理解を得にくいだろう」とする。
検討部会では、新たな施設についても議論。立地条件について「土砂災害警戒区域などの被災リスクを避けた立地」を絶対的な条件としたい考えだが、アクセスの良さや、学校など他施設と連携のとりやすさなどを重視する意見も出ている。
市担当者は「候補地については検討部会外の話だが、被災リスクが低い立地は市内では限られている。市外に移転は考えられないため、全ての立地条件を満たすのは現実的に難しい」と話す。
市は今後、検討部会の結論を受け、方針案を8月ごろに公表し意見公募を行う予定だ。
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