「歌曲」と呼ばれるクラシック音楽の分野で、女性アルトは珍しいという。ピアノで弾き歌う曲は固いクラシックではなく、実は聞いたことがあるというようなものも選曲。クラシックからジャズ、賛美歌、ミュージカルナンバー、高齢者施設で覚えた歌謡曲や唱歌まで、歌の幅は広い。
高校時代に急きょ参加することになったミュージカルが原点。声楽では誉め言葉だという「(他にない)変わった声」と評価され、楽しさを見い出した。声楽に出会い、どもり気味だった話し方もいつしか治っていた。美術を目指すはずだった志望校は、声楽専攻に切り替えた。
実家のある静岡で教室を持ち、有馬小学校の司書も務めるほか、日本全国での芝居出演や流しの弾き歌い、イラストレーターなど多才な顔を持つ。「好きなことをやっていたいから」と多忙な毎日も苦にしない。
「解説に全てを書いても、大して頭に入らないから」と、曲の由縁や解説もMCで伝える。明るく人を惹きつける話や活力溢れる人柄からか、人伝手で仕事が入ることも多い。アリーノで歌うようになったのは、子どもの手を引き、大きな声で歌って歩いている所を前館長に声を掛けられてから。「がっかりさせないは最低ライン。コンサートに来れる人がラッキーと思えるものに」
『鷺沼駅と坂道』は、アリーノのイメージソングとして作った。「耳障り、聞き心地の良いように」と、いつでも帰れる故郷の変わらない温かい雰囲気を伝える。みんなの故郷にあてはまるよう、歌詞には直接的な表現は入れなかった。それでも、地元の人には分かるのが特徴。「前館長に依頼され、口ずさみながらすぐにできた」と作成当時を振り返る。オリジナルの楽曲を書いたノートは4冊目となり、200曲を超える。
一度はピアノから離れていたが、20歳頃に楽しさを再認識した。2019年4月に開業した居酒屋には、ピアノを置き、店でも弾き歌う。緊急事態宣言の間も歌う様子を配信し、ファンや客と交流は続いた。「良いお客様に恵まれている」と感謝。「ピアノを弾くスナフキン」や「酔いどれピアノポップ」といった愛称も、客が愛を込めて付けてくれたものだという。
「人とつながれるライブが一番楽しい。直接的に伝えたいとは思っていない。投げかけるだけだが、受け取り方は自由」と力説する。歌詞の助詞一つにも「聞き心地の良いように」とこだわる。昔は言葉での表現が苦手だったというが、今では曲に乗せ心地よい歌詞が響く。「混沌とした2年を超え、ライブができて幸せ。肩ひじ張らず、笑顔で楽しめたら」
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