44年前に描いた風景画を鷺沼町会に寄贈した 筒井 昭輔さん 鷺沼在住 91歳
無心の境地、達するまで
○…地元町内会に寄贈した油絵は、『終活』をしていて思いがけず出てきた40年以上前の作品。未来を予見するかのように鷺沼の街並みにビル群が描かれている。「ビルは構図のバランスをとるために想像で追加した。風景画を一生懸命に描いていたころの思いが詰まっている」と回顧。寄贈先には町内会のことが真っ先に思い浮かんだ。「会館に飾るそうなので、溶け込んでくれればうれしい」
○…9人きょうだいの次男として東京・赤坂で生まれ育った。幼いころから絵が好きで、小学4年生のときには東京市長から表彰を受けるなど、才能の片りんをみせていた。「日の丸の旗を掲げた三輪車に乗った子どもの作品」は今も記憶に残っている。東京大空襲で実家は焼け落ち、学徒勤労動員で魚雷工場で働いた。「食べるのに必死だったので、戦争末期は絵を描いた記憶もない」。一中(現在の都立日比谷高校)を代表し、昭和天皇の戦後巡幸で詩吟を披露したことが一生の思い出だ。「先生と一緒に防空壕の中で何回も練習して臨んだ」と当時を振り返る。
○…若かりし頃にセザンヌの風景画を見て衝撃を受けた。デザイン会社を起業するなど、常に絵が近くにある人生だったものの、「絵描き」を宣言したのは会社員を定年退職後。2011年から9年連続で世界有数の展覧会「サロン・ドートンヌ」に入選、4月にはパリ国際サロン展で優秀賞に輝くなど、数々の受賞歴がある。その作風は、独学で作り上げてきた。
○…街並みが気に入り、46年前に鷺沼へ。町内会では数年前に支部長を務め「やっと一員になれた」と笑う。今は書家とのコラボを計画中。「無心の境地に達すると良いものができる。ゴルフもそう」と笑った。
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3月22日
3月15日