川崎市消防局によると、2017年4月に86人だった市内の女性消防団員が、10月1日時点で約1・4倍の123人に増加していることが分かった。一方で、団員の定数を満たしていない現状に対し、市は「休団制度」を来年4月に導入する方針で、途中退団に歯止めをかけたい考えだ。
区別の推移でみると、女性団員を今年度から導入した多摩は13人、麻生は14人が在籍(10月1日時点)。中原では今年新たに8人が加わり、17人に増えた。市全体では123人となり、全団員数1147人の約1割が女性だ。
一方で、男性を含む市全体の団員数は横ばいで、定数1345人に対し充足率は85・3%にとどまる。要因の一つが団員の途中退団で、昨年は95人が入団したが89人が退団。これを受け、市は「休団制度」の導入に向け調整を進めている。
転勤などで団を一定期間離れる場合でも、復帰を希望すれば団員資格を残す仕組み。特に女性は、出産や子育てを理由に退団するケースも多く、市は「制度導入で充足率を高めたい」としている。
広報・講習で貢献
女性の入団促進における課題として、災害現場での危険性や重労働、家庭生活との両立への配慮が挙げられる。そのため各区の女性消防団員は、広報活動や訓練の後方支援を担うケースが多いという。麻生消防団の土方茂団長は「体力的にきつい活動は避け、救命講習を基本にした支援活動が中心。家庭優先で取り組んでもらっている」と話す。
消防団員に女性を推薦した中原区内の町会長は、「町会の啓発活動でも、子どもや高齢者に対する気遣いは女性ならでは。地域交流の促進にもつながる」と期待を込める。団員やOB、町会などを通じて、市は女性を含めた団員確保を急ぐ考えだ。
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