燃料はてんぷら油 エコバス試験運行 環境団体と区役所が協働
家庭等から回収した使用済みのてんぷら油(廃食油)を原料にしたバイオディーゼル燃料を100%使用し、マイクロバスを走らせる試みが区内でスタートした。地域資源の循環をテーマに活動する団体が行政と協働で手掛ける事業で、今月5日には関係者らを招き試乗会を行った。
事業主体のかわさきかえるプロジェクト(伊中悦子代表)は、これまでも廃食油を利用したリサイクル石けんの普及に取り組んできた団体。3年前から高津区内の一般家庭等から廃食油回収を始め、今では月300〜500リットルが集まるまでに発展している。
回収した廃食油を石けん製造以外にも役立てる取組みがバイオディーゼル燃料化。同団体では、軽油の代替燃料として利用できれば「CO2削減、資源循環による地域エネルギーになる」とし、過去にも川崎市のゴミ収集車を走行させる実験を行ってきた。
「高津エコツアーバス」の走行は多摩区のマイクロバス走行事業者・(株)高橋商事の協力を得て実現した。
走行には車検証の使用燃料欄に、軽油に加えバイオディーゼル燃料を使用する旨を記載する手続きが必要だが、車の改造は不要。100リットルの廃食油から約90リットルの燃料が製造可能で、軽油と比較し燃費や馬力は変わらないという。
「黒煙少ない」「普通のバスと同じ」と評価は上々
5日の試験走行には関係団体や行政等から19人が参加し、約半日かけて区内各所を回った。バスの走行性能を確認するため、登りや降り道など様々な条件を行程に交えた。
同乗した区役所地域振興課の三門大輔さんは「黒煙が少なく、排気はバーベキュー後の網の臭いのよう」と話した。参加者からは「もっと臭いが強いかと思った」「(走行性能は)普通のバスと同じ」との声が寄せられ、「自分達の活動でも、移動手段としてエコバスを導入できないか」といった前向きな意見も聞かれた。
三門さんはまた「資源循環の普及啓発を進めることでこの活動をポピュラーなものとし、廃食油の燃料化に拍車がかかれば」と事業の今後を見据えた。
現在、かわさきかえるプロジェクトでは廃食油を製造会社に売り、そこで精製されたバイオディーゼル燃料を購入している。将来的には自前の製造機を持つことを目標とし、現在スポンサー企業も探している。伊中さんは「エコツアーバスを走らせたい一心でここまできました。これからも普及に力を入れていきたい」と意気込む。
今後は、区内イベント等の開催に合わせる形でバスをほぼ毎月走らせ、来年3月に車両への負荷状況や燃費計算、乗客へのアンケート調査をまとめ、成果の検証を行う予定。
なお、同団体では毎月第4水曜日の午前中に高津区役所や橘出張所で廃食油の回収を行っており、多くの参加を呼びかけている。
問合せは同団体(【電話】044・866・7005)へ。
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4月26日