高津区版 掲載号:2011年10月28日号
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溝口にある日本地名研究所の所長を務める 谷川健一さん 市内在住 90歳

「日本人の情緒」探して

 ○…「地名は”あぶりだし”みたいなもの。じっくり見つめていくと、そこには日本人の情緒が隠れている」。戦後の混乱期に派生した町名や地番を整理するため施行された住居表示法に危機感を覚え、全国組織「地名を守る会」を立ち上げた。81年には高津区溝口に日本地名研究所を設立。以来毎年主催してきた全国地名研究者大会は、今年で30回を数える。50代半ばに志した地名研究の道。古の人々が現代に残したメッセージを紐解く旅は、今も続いている。

 ○…1921年、水俣市生まれ。小児結核を患い、大半を家の中で過ごすなか、多くの童話や児童文庫に夢中になった。文学少年はやがて東京大学文学部に進学。平凡社に入社後は『風土記日本』などの編集に携わる。柳田国男と親交があったのもこの頃。その著書にあった日本の庶民の”貧しくとも楽しみを追求する姿”に感銘を受け、民俗学の扉を開いた。日本で初めてのグラフィック誌『太陽』の初代編集長を務めた後、執筆活動に入る。66年に発表した『最後の攘夷党』は直木賞候補に選ばれた。07年には文化功労者を受賞。

 ○…民俗学はもっとも文学に近い学問と信じている。「民俗学者はもっと歌を詠むべき。柳田国男や折口信夫が全国をまわり、生涯歌を詠み続けたように」。自身も歌人として、08年には御歌会始めの召人に選ばれた。自然の移ろいに目を凝らし、万物と対話する仕業は、遠く古の人々の情緒に迫る作業に似ている。

 ○…今、夢中になっているのは中国王朝「南宋」の研究。執筆活動や取材対応の合間を縫っては、関連書にかじりついている。「やはり、心惹かれるのは庶民の生活。その時代に生き、迷い、翻弄されながらも、明朗に生き抜く姿を見つけると、探究心をくすぐられる」。根っからの民俗学者は、まだまだ歩みを止めない。心の奥底から沸き出でる、並々ならぬ好奇心に身を任せて。
 

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