神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
高津区版 公開:2012年3月9日 エリアトップへ

洗足音大 学生が支援、1年間の奮闘 被災地で演奏会、楽器寄贈も

公開:2012年3月9日

  • LINE
  • hatena
支援チームで活動する(左から)石井准教授、加藤さん、岩本准教授
支援チームで活動する(左から)石井准教授、加藤さん、岩本准教授

 東北地方を中心に甚大な被害が広がった東日本大震災から1年。洗足学園音楽大学は音楽の力で被災者の心を支えたいと、発生後すぐに「被災地支援推進チーム」を結成し、復興活動を続けてきた。被災地での演奏会開催などに取り組む有志たちは、今後も音楽を通じた支援活動を継続したいと話している。

 「被災地のために自分にできることを考えよう」「音楽大学だからこそできる支援とは何か」。震災から約1ヵ月後の昨年4月、同大学、大学院、短大の教員、学生らによる支援チームが発足した。参加の呼び掛けに応じ、次第に集った有志約50人が現在も復興活動に奮闘している。

 主な活動は募金、楽器の寄贈のほか、被災地でのチャリティーコンサートの開催。地道に続けた募金の結果、現在までに600万円を超える義援金をあしなが育英会、日本赤十字社、福島県いわき市に寄付した。「未来の音楽家たち」による復興への取り組みが着実に成果を上げている。

音楽に不思議な力が宿る

 支援推進チームは昨年8月14日、宮城県黒川郡で追悼演奏会を開催した。同大学の東北出身学生と宮城県内の中高生総勢100人が共演。観客約400人を前に哀悼の意を音色に込めた。

 引率した岩本伸一准教授は、ベルギーから訪日してこの日の指揮者を務めたヤン・ヴァン=デル=ローストさんの言葉を胸に大切にしまっている。「音楽は手では触れない。でも心に触れることができる」。終盤に近づくにつれ、聴衆の拍手が段々と盛大になり「自分も自然と泣けてきた」と岩本准教授。「何か不思議な力を感じた」

「他人事に思えなかった」

 「家が崩れ、骨組みだけが残っていた。テレビのニュースで見るより衝撃的だった」。同大学大学院2年の加藤詩菜(うたな)さんは昨年5月14日、支援チームの一員として被災地・千葉県旭市を訪問。現地に広がっていた「生々しい景色」に息を呑んだ。「目の当たりにすると、とても他人事には思えなかった」

 同市にある避難所から演奏依頼を受けたのは訪問の3日前だった。加藤さんら学生計6人は慰問演奏会開催を快諾。移動中のバス内で初リハーサルを開始するほどの強行日程だったが「なんとかしなきゃ」と心を一つにした。被災者たちからの歓迎を受けた学生たち。スティールパンやパーカッションで聴衆の心をつかみ、避難所にいる全員で「ふるさと」を大合唱した。「情熱を傾けられる特別な演奏会だった」と加藤さんは追憶する。

 学生有志を引率する石井喜久子准教授は「(こうした経験を通じ)皆成長したと思う。これからも続けていきたい」と抱負を語った。

 同大学は昨年4月、全学生が学年を越え、グループ別にホームルーム形式で震災について話し合う「希望と絆」週間を初めて実施。学生らは2週間に渡り、教員とともに「復興のために自分にできること」を考え、意見をぶつけ合うなど、貴重な時間を共有した。同大学は来年度も、復興支援に向けたこれらの取り組みを継続していくとしている。
 

宮城県で開催したコンサート
宮城県で開催したコンサート

高津区版のトップニュース最新6

溝口神社で「こどもフェス」

4月29日

溝口神社で「こどもフェス」

SDGs関連の試みも

4月26日

飛鳥時代の倉庫復元

橘樹官衙遺跡群

飛鳥時代の倉庫復元

「歴史公園」来月オープン

4月26日

市制100年で1万発に

多摩川花火大会

市制100年で1万発に

今年の開催概要決まる

4月19日

「おいしさの技術」に迫る

県立川崎図書館

「おいしさの技術」に迫る

「食」テーマの企画展、話題に

4月19日

「川崎の町名」改訂版発行

日本地名研究所

「川崎の町名」改訂版発行

新たな「由来」などを反映

4月12日

「しあわせ職場賞」に喜び

久地「日本理化学工業」

「しあわせ職場賞」に喜び

障害者の働き甲斐、支援

4月12日

あっとほーむデスク

  • 5月20日0:00更新

  • 4月15日0:00更新

  • 4月8日0:00更新

高津区版のあっとほーむデスク一覧へ

コラム一覧へ

高津区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月26日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook