多摩川 アユの遡上 過去最多 推定285万尾
多摩川を遡上したアユが06年に調査を開始して以来最多の約285万尾を記録した。国土交通省京浜河川事務所が6月25日、速報値を発表した。高度成長期には死の川とさえ呼ばれた多摩川だが、水質の改善とともに清流の象徴が戻り始めている。
調査は調布取水堰(東京都大田区)で目視によって実施し、単位時間あたりの遡上数から算出した。3月23日から調査を開始し、6月12日までの推定数を約285万尾とした。
同事務所によると、調査を開始した06年は約90万尾を記録。09年には約47万尾に落ち込んだものの、10年の196万尾から3年連続で増え続けて、最多記録を更新した。
多摩川の水質は高度経済成長期に悪化したものの、近年は大幅に改善。水質を表す指標のひとつBOD値(生物化学的酸素要求量)をみると、99年頃から主要な調査地点で魚の生育条件の目安となる基準値を満たすことが多くなった。
京浜河川事務所は「増えた要因は一概に言えないが、水質が良くなっているのが一つの要因ではないか」としている。
川崎河川漁業協同組合の総代、山崎充哲さんは「数は間違いなく多いが、やや小ぶり。沢山釣れるので釣り客が増えている。青梅まで遡上しているようだ」と話している。
多摩川を遡上したアユは餌の水苔を巡って縄張り争いをしながら成長する。秋には中流域の浅瀬で産卵して一生を終える。卵から孵化した稚魚は海に下りて春までプランクトンを食べて成長し、春になると川を遡上し始める。
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4月26日