市内の農地 20年でほぼ半減 市民と行政で農業振興を
市内の農地が20年でほぼ半減、農家数も減少し続けている。農業の活性化を目指し、市が「かわさき農の新生プラン」を進める中、高津区は「たちばな農のあるまちづくり推進事業」を展開。農業体験会など、さまざまなイベントを実施し、農業への市民の理解促進に取り組んでいる。
農林水産省が5年ごとに実施している農業などの実態調査によると、耕地面積を含む市内の総農家面積は、最新の統計である2010年度で4万7629アール。1990年度は8万5380アールで、20年でほぼ半減した。
また2010年度の農家総数は1257戸で、2106戸だった1990年と比べ大幅に減少している。
年々減少する農地、農家数について、市経済労働局は「農業収入だけでは生計を立てられない農家がが多い。その上、相続税などの支払いのため、農地を手放すことを余儀なくされる農家が少なくない」と分析。農業従事者の高齢化や慢性的な後継者不足も、減少に拍車を掛けているという。
JAセレサ川崎の直営で
2008年、麻生区黒川にオープンした市内唯一の大型農産物直売所「セレサモス」について、同局農業振興課は「販路が拡大し、農業収入が向上した農家もある」とし、農業活性化に功を奏している現状を説明。近年、特に市南部の農家から、南部への大型直売所の設置を求める声が上がっているという。
同課によると、住宅街の中にある農地での農薬や肥料の散布に対し、周辺住民が市に苦情を寄せる場合が少なくない。同課は「市内での営農環境の改善には、周辺住民の理解が重要」としている。
農業体験で「援農」を
高津区では「たちばな農のあるまちづくり推進事業」の一つとして、NPO法人ぐらす・かわさきが農業体験イベント「援農サポーター」を主催している。農業に関心のある市民を募り、区内の農場でボランティアとして農作業を体験するイベントで、2009年からほぼ毎月実施。幅広い年齢層の市民が参加している。
9月8日には区内久末にある久清ファームで開催し、20〜60代3人が参加した。久清ファームの森清行さんは「最近は親子連れでの参加者が増えた。手伝ってもらえて助かっている」と語る。たる栽培で育てたトマト苗の撤去などを体験した吉田朗子さん(22)は「(農作業を体験できて)気持ち良かった。楽しく会話しながらテンポ良く進められた。また是非参加したい」と汗が光る笑顔で話していた。
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3月29日