気象実験クラブの代表で、気象予報士として理科実験教室などで講師を務める 佐藤 元さん 二子在住 72歳
科学の魅力、伝える喜び
○…「なぜ夏は暑いのか、なぜ風は吹くのか。当たり前と思っていることに『なぜ』と疑問を持つことがサイエンスの第一歩なんです」。区内の小学校をはじめ各地で開かれる理科実験教室で、気象予報士として天候の不思議を子どもたちに伝えている。今年2月、KSP内の神奈川科学技術アカデミーでは「雨を降らせる真犯人を見つけよう」と題した実験教室で雲、台風、竜巻などが生まれる原理を小学生に解説。子どもの知的好奇心を喚起するよう、身近なもので雲や竜巻を再現し、大好評を博した。
○…東京生まれ。小学生のころ、親が買ってくれた天文・気象図鑑に魅了され、科学への関心を深めた。高校では気象、天文の両分野が学べる天文クラブに「迷わず」入部。毎朝百葉箱を開け、データから気象について学んだほか、校庭に望遠鏡を置き、天体観測に夢中になった。大学卒業後は、技術者として大手企業の事務処理システムのほか、新聞編集システムの開発なども手掛けた。「徹夜の連続。大変だったけど懐かしいな」
○…気象予報士を目指したのはテレビを通じ、同資格ができたと知ったから。「本来やりたかったことをやろう」。子どものころを思い出し、一念発起して受験。見事合格し、退職後は気象の研究を楽しんでいる。有志からなる気象実験クラブを創設し、代表を務めるほか、日本予報士会神奈川支部の初代支部長なども歴任。ここ数年は毎年富士山に登り、頂上で気象実験、インターネットを通じた実況放送を続けている。
○…実験教室で出会う多くの子どもの未来に、無限の可能性を感じる。「努力しても結果が出ないのは失敗ではない。それはゴールに至る大事なプロセス」。将来の科学界を担うのはいまの子どもたち。科学の先達が柔和な笑顔で言葉を続ける。「子どもは何がきっかけになって、将来ノーベル賞を取るか分かりません。失敗を恐れず、研究に挑戦することが大切です」
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4月19日