高津区保護司会の会長に4月に就任した 越水 詞郎さん 下作延在住 72歳
「あきらめずに寄り添いたい」
○…犯罪や非行をした人の更生を支援する保護司に就いて21年。現在も担当を受け持ち、面談を通して社会復帰のサポートをする。面談する時はまず初めに「一緒に社会復帰をしていこう」と伝えることを信条とする。「犯罪者という目では見ない。監視ではなく、支援」。だからこそ、全国で見られる再犯者率の高さに危機感を募らせる。「重要なのは就労支援。雇用協力をしてくれる企業との情報共有をさらに強化していきたい」と、会長として課題に取り組む決意を語る。
○…51歳の時、保護司を定年で退いた義父の後を引き継ぐ形で入会した。「サラリーマン務めだったし、できるか不安だったけれど、父の姿を見ていたので抵抗はなかったね」という。中には再犯を繰り返す人もいた。面談するたびに力不足を痛感し、やるせない気持ちになったが「あきらめることはなかった」という。「更生してもらいたい、何とかしてあげたいという思いだけ」と、誠実に向き合う。街で会ったときに「『ちゃんとやってますよ』と、向こうから挨拶してくれた時はやっぱり嬉しい」とそれが原動力となっている。
○…父親が鉄道関連の仕事に就いていた関係で中国蘇州に生まれた。終戦後、日本に引き揚げ、愛媛県久万で少年時代を過ごす。「山奥だから雪の深いまちだった」と久万が原風景だ。駅長を務めていた父親にこっそり「道後温泉行」の電車に乗せてもらい、寒い日は家族で温泉に浸かった。「道後温泉は湯冷めをしないんだよ」と柔らかく笑う。
○…趣味は「ボクシング観戦」と、穏やかな印象とは一転、意外な一面も。好きな選手は6階級制覇王者のマニーパッキャオ。「体は小さいけどガッツがあってスカッとする。あの闘志に憧れるね」とニコリ。溝口へ来て40数年。青少年指導員や町会、川崎西ロータリクラブの活動で地域のつながりは広い。忙しい日々を送るが「最優先は保護司会」と静かに闘志を燃やす。
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3月29日