2018年の幕開けにあたり、本紙では福田紀彦川崎市長に新春インタビューを行った。今号は元旦号に続く後編を掲載する。
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――待機児童対策ですが、児童の受け入れ枠の拡充を強化する一方、保育ニーズの高まりにより希望園への入所が難しくなることや、国の新基準に基づく集計の影響から待機児童数の増加が見込まれます。これらの課題に対する具体的な取り組みはいかがでしょう。
「2018年4月に向けて、現時点で1843人分の受け入れ枠を新たに確保しています。引き続き、既存保育所のさらなる受け入れの調整や、川崎認定保育園の新規認定など、多様な手法で一人でも多くのお子さんを預かれるよう、全力で取り組んでいきます。
また、区役所では利用者の皆さんの意向を丁寧に確認しながら、ニーズに寄り添った、きめ細やかな相談や支援の実施など、待機児童の解消を目指して取り組んでいるところです」
起業家支援成長を後押し
――公約では「力強い産業都市づくり」を進めるため、企業の開業率アップを掲げました。政令市12番目の開業率をトップ3にするとしていますが、実現に向けての具体策はいかがでしょうか。
「全国的に起業希望者が減少する中、川崎市では若手の起業希望者が増加しています。また市内には、ものづくり企業が数多く立地しているとともに、殿町『キングスカイフロント』や『新川崎・創造のもり』といった世界最先端の研究開発拠点などがあります。これらの強みを生かしながら、川崎市産業振興財団や商工会議所などの支援機関とも連携を一層強化し、研究開発型のベンチャー企業をはじめとする起業や成長の支援を行うなど、より多くの起業家を生み出す取り組みを進めたいと思います」
――減債基金からの借入が多額となっていることが懸念され、健全な財政とは言い難いとの意見もありますが、見解をお聞かせください。
「減債基金は将来の市債の償還のための資金に充てるため、積み立てているものです。現在は、将来の市債の償還に影響しない範囲で、臨時的に借り入れていますが、川崎市では、財政運営の指針として『収支フレーム』を位置付けて、2024年度には減債基金からの借入に頼らないことを目指しています。引き続き、緊張感を持った市政運営を行い、施策の調整や行財政改革の取り組みを着実に進め、借入額の圧縮と早期の解消を目指します」
海外に学ぶ芸術・文化振興
――文化振興策として日本で初めて「パーセント・フォー・アート」の導入を公約に掲げました。その経緯と、実現までの工程についてうかがいます。
「海外では公共建築物の建設費用の1パーセント程度を、まちなかや建物内の芸術作品などに活用する『パーセント・フォー・アート』の取り組みが進められています。生活の中に芸術、文化が薫る、より豊かで成熟したまちになることを目指して、海外の取り組みも参考にしながら、新たな仕組みづくりに向けた検討を始めています」
――ヘイトスピーチ対策として条例の制定を掲げていますが、今後どのような形で議論を深め、いつ頃の制定を目指すのか教えてください。
「条例の対象はヘイトスピーチだけでなく、人種、性別、障害、性的マイノリティなど、あらゆる差別の根絶を目指すものであるべきと考えています。条例を制定する時期については、期限を設けることなく、丁寧に検討していきます」
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