高津区で複数の神社の宮司を兼務する金子善光さんが、扁額や手水鉢など、各神社の歴史ある文化財60点を目録化し、「川崎市地域文化財顕彰制度」に応募した。今秋にかけて調査、選定が進められ、11月に決定、公表される。
同制度は、市が昨年12月に創設した。国や県、市が指定、登録する重要な文化財だけでなく、地域に根差した文化財を幅広く顕彰、記録することで、地域で守られてきたその価値を後世に伝えようというもの。選定にあたっては市内の文化財を幅広く把握するために推薦の形をとり、3月から5月末まで募集が行われていた。
扁額や神事など有形、無形も
金子さんは区内の千年、杉山(末長)、新作八幡宮、氷川(宇奈根)、神明(下作延)の5社と多摩区の稲荷(中野島)、稲荷(堰)の2社の宮司を兼務する。引き継いだ中で、それぞれの神社に残る文化財の多さに驚き、「後世にしっかり残さねば」と記録を作り始めた。今回の市の顕彰制度の連絡を受けて、各社の有形のほか、夏祭に先立って行う「湯花神事」など無形民俗文化財を含む計60点を推薦した。
例えば千年神社には、同社に合祀される前の御嶽神社や春日神社、神明神社の鳥居に掲げられていた「扁額」や、社殿の建築、修築の記録の「棟札」が多数保存されていた。古くは1739(元文4)年のものも見つかった。金子さんは「明治時代の合祀令などで区内でも神社の合祀が進んだ。火事で燃えてしまったものが多い中、残ったこれらは当時を知る貴重な資料であり、その他にも精巧な彫刻や石柱など、調査の際にぜひ専門家に詳しく調べてもらえたら」と期待を寄せる。
地域文化財に選ばれると、補助金などの助成はないが、市が周知を行うほか専門家による指導、助言が受けられる。金子さんは「全てが選ばれるか分からないが、地域の歴史を知る貴重な資料として、地域の皆さんと大切に保護していきたい」と語った。
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