小学校のブロック塀が倒れ、女児が亡くなった大阪北部地震から約1カ月。ブロック塀の安全性に関する問合せが川崎市に寄せられるなど、市民の関心が高まっている。市は20年前の調査に基づき、倒壊の可能性がある通学路のブロック塀の所有者に当時から改善を指示、3月末時点で38カ所が危険な状態とされている。
震災後の避難所にあたる小学校までの避難経路の安全確保のために、市は市立小114校の通学路沿いにある建築物を97年度〜99年度に3年かけて調査していた。市建築指導課は「古い事業で調査理由を示す資料は残っていないが、阪神・淡路大震災など大きな震災がきっかけになったと思われる」としている。
調査は民間企業1社に委託され、対象は1万1868カ所あった。建築基準法や劣化状態などチェック項目に基づく業者の報告から危険度の高いブロック塀を、技術職の市職員が目視で確認。「将来的に倒壊の恐れがありそう」だと判断されたのは、323カ所だった。
対象物件の所有者に対し、市は当時から継続的に改善を指示しており、今年3月末までに285件が完工。38カ所が残っている。調査は20年前で、その後の追加調査は行われていない。同課は「危険なブロック塀が増えている可能性は否定できない」としている。
撤去は自費、助成も
ブロック塀の撤去は対象外だが、生垣に変更するなど条件により、市は助成制度を設けている。民家の場合は私有財産のため、撤去費用は自己負担で、所有者の高齢化などが理由で改善に踏み込めないケースがある。
同課は「注意喚起することしかできない。大阪の恐ろしい事案が発生したが、所有者の意識が変わってくれれば」と見解を示す。
市はパンフレットやウェブサイトで安全点検の方法も紹介しており、活用を呼びかけている。
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