高津区内で初めて開かれる「貝合わせ」の講師を務める 北野 美千子さん 下作延在住 79歳
人生、芸術に魅了され
○…全国に約30人しかいない貝絵講師として貝絵文化協会に所属。24日に下作延神明神社で開かれる貝合わせで、地域に良き日本文化を伝承する。「貝絵の講師は初めて務めるので緊張する。皆さんに貝絵の楽しさを味わってもらえるようにしっかり、丁寧に教えたい」と意気込む。
○…70歳の頃に当時通っていた、ぬり絵教室で貝絵と出会う。ハマグリの貝に描かれた繊細な絵とつながりのあるストーリーに魅了された。ぬり絵で培った絵の技術と感性ですぐさま上達。周囲からは、アクリル絵の具で貝殻の内側を金色にする作業「金塗りの達人」と称される。各地の作品展にも展示し、貝絵の良さを広めている。「貝絵をしていると自分の世界に入れ、時間を忘れられる」と微笑む。
○…文化活動に目覚めたのは、子育てがひと段落した50歳の頃。夫の「今まで家族に献身してくれた分、これからは好きなことに打ち込んでほしい」との後押しで興味があった脚本家の道へ。かつて多くの人材を輩出した松竹シナリオ研究所に通い、物語づくりのノウハウをいちから学んだ。数年後には努力の甲斐あり、三國連太郎さん主演の映画『螢川』のプロデューサーを担当するまでに成長。「ワンシーンだけだけど…」と謙遜するが、自身も芸者の役として出演した。「脚本家はモノづくりの面白さを学んだ原点。俳優さんから表現者として追及する実直な姿勢を教わった」
○…一昨年は大腿骨骨折の大怪我、昨年は大腸癌という大病を経験したが、「子どもたちはもちろん、孫、ひ孫のためにも元気でいないとね」と前向きな言葉に力強さを感じる。「一度きりの人生、後悔しないように好きなことに没頭していきたい」。芸術と歩む物語はまだまだこれからだ。
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4月19日