高津消防署の署長に就任した 熊谷 智子さん 東京都在住 56歳
信念貫き、着実に歩む
○…「署員一人ひとりがかけがえのない『人財』。皆が力を発揮できるよう、働きやすい職場づくりを目指したい」と穏やかに意気込みを語る。高津消防署には10年前に庶務係長として着任しており、今回で2度目。当時を知る消防団員からは「おかえり、待ってたよ」と歓迎された。「嬉しかった。高津の方はとても熱心に活動していて、温かい人が多い」と笑みがこぼれる。
○…市内初の女性署長。これまでも何かと「女性初」と冠がつくことが多かったが、「先輩方の背中を見て、目の前の仕事をやってきただけ」と気負いはない。入局当初は男性社会で、女子トイレもなければ、育児支援などの制度も整っていなかった。「色々なことを言われたけど、先輩の『気にしないで、大丈夫』の言葉に救われた」。先陣を切ってくれた先輩たちがいたからこそ、今がある。
○…子どもが好きで、保育師を目指していた。しかし、川崎市消防局に勤めていた従姉が「予防広報で幼稚園や保育園に行くこともあるから、資格を生かせる」と勧めたこともあり、消防の道へ。長年予防業務に従事してきたが、東日本大震災以降、消防団らと被災地を訪れたことが印象深い。現地の悲惨さを知ることで、地域防災の重要性を肌で感じた。「地域の人と街を守りたい」。一貫してその思いを掲げてきた。
○…春にはいちごジャム、秋には栗の渋皮煮を作るなど日々の生活を楽しむ。ヨガが趣味だが、最近はオンラインでピラティスも始めたという。多忙な業務の中でも、心が休まるひとときだ。署長室には、恩人から贈られた「智・仁・勇」の書が飾られている。「なかなか難しいけど、そういう人になりたい」とまっすぐに文字を見つめた。
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4月26日