川崎市男女共同参画センター（すくらむ21）の館長に着任した 納米（のうまい） 恵美子さん 溝口在住 67歳
働くこと、生きること
○…玄関の花を入れ替えるのは元職員の80代の男性。学校帰りの小学生の女の子が「バレエごっこで転んだ」と一休みしていったことも。事務室にいると日々どんな人が来ているか「生でよくわかる」と、地域との距離の近さを肌で感じる毎日だ。女性の就労支援や居場所づくり、男性の家事育児支援など多様な事業を行う同センター。「次のステップを見つけるお手伝いがしたい。どの世代も気軽に来てほしい」
○…出身は東京都。男兄弟の真ん中で育つ活発な少女だった。神楽坂で料亭を営む祖父母は、孫娘に三味線や琴を習わせたかったが「全く興味を示さなかったみたい」とおちゃめに笑う。「自転車が欲しかったのに女の子が乗る物じゃない、って叱られて。女の子らしさを求められることに反発してた」。都内の大学で社会科学を学び、卒業と同時に結婚。顧問まで勤め上げた横浜市の男女共同参画センターには１９９１年に入職した。
○…女性が働いて収入を得ていく、その後押しに力を注いだ30年。就職２年目でオランダに出張しフェミニズムに関する本の買いつけを任されたこと、ＤＶと虐待の結びつきに関する本の翻訳・出版を企画し、編集者たちと力を合わせたこと。仕事を通じた出会いややりがいに、自身も支えられてきた。「まず暮らしていけること」と言い切る一方「生活のための仕事が、実現したい価値につながるものなら幸せ」と語る口調は穏やかだ。
○…娘と猫２匹暮らし。日帰りなら「月一で行きたいくらい」の温泉好きで、温泉仲間も多いとか。コロナで遠出しにくい中、ビデオ通話で孫と話すのも楽しみの一つだ。仕事はそろそろ総仕上げの時期。「日々の中での男女共同参画を地域の方と展開していきたい」と足元を見つめる。
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