溝口にあるてくのかわさきを拠点にする日本地名研究所(金田久璋所長)が今年、発足40周年を迎える。地名を通して地域の自然や歴史文化を正しく後世に伝えようと活動し、全国の地名研究会の中心的役割を担う。
日本地名研究所は1981年、川崎区で発足。戦後復興ののち高度経済成長期を迎え、土地の開発が盛んだった昭和40〜50年代。全国各地で開発や合併により従来の町名が改変され、失われていく事態に危機感を覚え、地名を守る運動を始めたのが民俗学者で麻生区在住だった故・谷川健一氏。神奈川県と川崎市の協力を得て、81年に初めて市内で全国シンポジウムが開かれ同年、日本地名研究所が設立、谷川氏が初代所長に就任した。
「地名は大地の表面に描かれたあぶり出しの暗号である」との言葉を遺した谷川氏。同研究所では設立と同時に川崎市域の地名調査を開始。研究員だけでなく、文化活動を行う市民団体に協力を呼びかけ、女性を中心に30〜40人が参加した。文献資料を調べ、フィールドワークや現地での聞き取り調査を行い、地名一つひとつを徹底的に調べ上げた。10年の調査を経て91年に『川崎の町名』を編纂し、さらに整理した『川崎地名辞典 上・下』を2004年に刊行。「調査のひな型になり、全国の調査もこれにならって行われた」と菊地恒雄事務局長は話す。
研究所は現在200人ほどの個人会員と加盟50団体を束ねる。全国の団体・個人との情報交換を目的に毎年研究者大会を実施。近年は市職員向けの研修や市民や子どもを対象にした講座を行うほか、18年には川崎市住居表示懇談会に参画するなど、活動の幅を広げている。「この町にこんな意味があったんだ、とわかると愛着にもつながる。様々な形で地名の啓蒙を続けられるよう知恵を絞っていきたい」と菊地事務局長は話している。
27日まで企画展
40年の歩みを写真や年表で紹介する企画展を6月27日(日)まで東海道かわさき宿交流館=川崎区=で開催。谷川氏の生誕100周年でもあり、執筆した書籍なども並ぶ。問合せは【電話】044・280・7321へ。
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