影向寺(野川本町)の住職に伝わる2体の「胎内仏」が、三が日の午前9時から午後4時に初公開される。胎内仏とは仏像の内部に納める小さな仏像。2体が納められているうえ、そのうち1体は神像(=ご神体)で、公開されるのは非常に珍しいという。
胎内仏は、同寺の国重要文化財指定の本尊・薬師如来坐像の中から戦後に発見され、代々住職が仏壇で保管してきた女神坐像と如来坐像の2体。如来像は約8・2cm、損傷が激しいが金箔が残る。女神像は俗体で15・5cmほど、柔和な笑みを浮かべ、平安後期に作られたものと推定される。
同寺執事の加藤虔裕(けんゆう)さん(87)が昨年10月、同寺と50年来の付き合いのある郷土史家の三輪修三さん(82)に見せたところ「仏像の中に神像が入っているのは聞いた事がない」などと驚かれ、貴重なものと判明した。胎内仏が小さいため「良く見えるように」と、影向寺の写真集を手掛けた写真家・小池汪(おう)さん(88)=宮前区在住=が撮影し、三が日の公開では写真も配布される。
母の愛に思い馳せ
制作時期こそ推定はできるが、どういう経緯で2体の像が薬師像に納められたかは分かっていない。神像の両手は袖で覆っているものが多いが、女神像は何かを包み込むように合掌している珍しい特徴を持つことから、三輪さんは「胎内に収められた意味を解く鍵があるのでは」と語る。
撮影時に被写体をじっくり観察していた小池さんは「一生懸命に願うことがあって彫ったお気持ちを感じる」。加藤さんは「推測に過ぎないが」としつつ、「全ての子どもの病気平癒と健康を願うお薬師様に、薬を持って入ったのかもしれない」と思いを馳せる。3人は口々に「無事の出産や子の成長を祈ったのでは。女神の穏やかな表情に母の愛を感じる」と話していた。
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