開発に伴う公園整備 見直しへ 現行制度に例外規定 「約7割」整備されず
川崎市が先月28日、大規模な建築行為や開発行為に対して定めている公園整備の指針について、見直し(案)を発表した。制度が有効に活用されずに公園が整備されないケースが相次いだため、例外の適用基準を改めた。
周辺住民とトラブルも
川崎市建設緑政局が発表したのは「身近な公園の整備推進に向けた公園等整備指針の見直し(案)」。08年3月の「緑の基本計画」の改定に伴い、公園整備の事業手法を見直した。
川崎市の現行制度では、事業区域面積が0・3ヘクタール以上の住宅開発を行う場合、「川崎市建築行為及び開発行為に関する総合調整条例」によって事業者には面積の6%以上の公園か緑地を設けることが定められている。ただ、同条例に基づく指針には例外の適用がある。区域から250メートル以内に川崎市が管理する公園等があり、6%相当の土地代を川崎市緑化基金に協力した場合、公園や緑地を整備しなくても開発行為を進めることができるとしている。
川崎市が公表した資料によると、04年1月から10年12月までに該当する協議案件33件のうち、約67%にあたる22件が公園を整備せずに緑化基金に協力したケースだった。
議会に陳情も
この制度の見直しについては市民団体が川崎市議会に改善を求めた経緯もある。同局によると、こうした公園整備をめぐって陳情や請願が3件提出され、公園整備を求める周辺住民とトラブルになるケースがあったという。
「まちづくり・環境運動川崎市民連絡会」(小磯盟四郎事務局長)は陳情で「6%の土地代と削減される戸数の販売価格を比べれば、事業の採算上、緑化基金対応が圧倒的に明らか。こうした事態が事業者と周辺住民とのトラブルを生んでいる」と指摘。川崎市に対して▼原則、緑化基金対応を認めない運用に改めること▼提供後の公園は市民共有の財産となることから、計画段階から住民の要望を反映させる――の2項目を求めた。先月26日の川崎市議会まちづくり委員会で審議され、見直し(案)が発表されたことなどを理由に継続審査となった。
例外条件を厳しく
今回の見直し(案)では、例外の適用基準に要件を加え、事業者が緑化基金への協力を選択する条件を厳しくした。現行制度では「公園等」を全ての公園や緑地としていたが、見直し(案)では街区公園・近隣公園・地区公園に限定。さらにその公園の合計面積0・25ヘクタールとした条件も加えた。
緑化基金への協力金も高く見積もる算定式を採用した。これまで「用途地域別単価」によって算出していた協力金額を客観的な指標に見直すため、「路線価」によって算出する方式に変更した。
同局は「この見直しで公園整備になるケースが大きく増える」と見込んでいる。
見直し(案)は各市役所の市政資料コーナーや市のホームページなどで閲覧できる。川崎市は市民からの意見を受付けるパブリックコメントを来月3日まで実施する。
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3月15日