今月16日に市が主催した料理セミナーの講師を務めた 菊池 猛さん 登戸在住 35歳
料理の「理」は「ことわり」
昨年9月、登戸にオープンしたフランス料理店ビストロカプリシューの料理長を務める。店ではフラワーアレンジメントの教室やワインセミナー、ライブも開く。食材を仕入れる地元の農家や市民と交流を図ろうと、「農場フェスティバル」と題して野外レストランを開くこともある。「飲食店がまちの1つのピースであることが大切。おいしいだけでなく、そこに意味を与えたい」。そんな姿勢が評価され、川崎市が主催する料理セミナーの講師として選ばれた。
○…食材へのこだわりは人一倍強い。無農薬や減農薬はもちろん、食材が育った環境もポイントだ。今回の料理セミナーでは、障碍(がい)者の人たちが手作業で育てた無農薬のハーブを使った料理を参加者に手ほどきした。「どういう人がどういう環境でどういう思いでつくったか、それを感じてもらいたかった」。味だけではなく、その背景を伝えるのも目的だ。「(味わった人が)ハーブに感情移入してもらえれば、ライフスタイルの色づけになる」
○…実家も料理店。漠然と料理人になることを考えていたが、テレビ番組で有名料理人の料理を見て衝撃を受けたことが後押しした。「肉に緑色のソースをかけていた。味が想像できない。衝撃だった」。厨房に立つようになると、朝の7時30分から深夜24時まで座る暇もなかったという。そこで学んだのは先輩料理人の真剣さ。「今の若い人には自分より大きく育ってほしい。サービス業は人材育成の場として最適」
○…「料理の”理”は”ことわり”」。食材の調理の仕方やまちのコミュニティづくり、料理に対する姿勢、すべてが理にかなうという意味”ことわり”に繋がる。料理を通じて味だけではなく、人としての豊かさを提供したい。「小さくてもいいから、同じ価値観の共有が、まちのあちこちで花火が打ちあがる感じで広がっていけば」。そんな火付け役になりたいと願っている。
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3月29日