古代の役所橘樹郡衙(たちばなぐんが) 市内初の国史跡指定へ 調査委が発足
「奈良・平安時代の川崎市役所」にあたる橘樹郡衙(たちばなぐんが)の推定地(高津区千年)の国史跡指定をめざして、調査指導委員会が5月30日に発足し、現地調査を実施した。指定されれば市内初の国史跡となる。
調査指導委員会は、国立文化財機構奈良文化財研究所名誉研究員の山中敏史さんら委員6人で構成。この日、阿部孝夫市長への表敬訪問の後、推定範囲にある「たちばな古代の丘緑地」や近隣を視察した。郡の公的な寺院だったと考えられている宮前区野川の影向寺(ようごうじ)も訪れ、史跡調査を行った。
委員らは今年度、現地調査を計3回実施する。2016年度以降に橘樹郡衙の国史跡指定化を目指し、調査結果をもとに市に指導、助言などを行う。
国史跡指定になるのは、日本の歴史認識にとって重要で学術的価値が高いと国が判断した史跡。整備や保存などのために国から補助金が提供される。指定されれば市内初の国史跡となり、川崎市教育委員会文化財課は「地域の方にとって大きな誇りになる」と期待を寄せている。
橘樹郡衙の設置は7世紀後半とみられる。当時、武蔵国橘樹郡と呼ばれた現在の川崎市域で政治、行政、文化の中心として重要な役割を果たしたとされる。
宅地造成のため1996年に行われた千年伊勢山台北遺跡の発掘調査で、稲などを保管した郡衙の正倉とみられる7棟の総柱式掘立柱建物跡が発見され、この地が橘樹郡衙の推定地として注目された。市は「それまで場所もわからず、謎に包まれていた橘樹郡衙が約1300年ぶりに姿を現した重要な発見ではないか」としている。
その後、98年度から6年にわたり確認調査が実施され、郡衙に関連する建物跡が数多く発見された。市は2006年度、推定地の一部を買い取り、公園として保存している。
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>
4月5日