区内で句会を開く俳句・連句会「八千草」を主宰する 山元 志津香さん 麻生区在住 80歳
俳句は自分と向き合うこと
○…多摩市民館で週1回「句会」と呼ぶ俳句の講習会を開いている。参加者は毎回テーマを決めて自作の俳句を持ち寄る。作者の名前を伏せてお互いに評価し合い、鑑賞することで俳句への理解を深めていく。麻生区内や都内池袋などでも句会を主宰し、生徒は総勢80人にも上る。優秀な句をまとめた季刊誌「八千草」は、5月10日の発行で第70号を迎える。「俳句は詩的な自分史。自然を愛でるのもいいけど、自分の人生を詠ってほしい」
○…俳句は五七五の17文字しかないため、初心者では自分の気持ちを表現しきれないことも多いという。添削は生徒一人ひとりと向き合う。「添削する前に『あなたに関するいろいろなことをききますよ』と宣言するの」。何に感動したのかを聞き取り、季語などのルールを踏まえて指導する。作品の良し悪しを判断するだけでない、寄り添った添削指導は生徒から支持されている。「こんなに丁寧に教えてもらったことはない、と言われたことも。喜んでもらえるのが嬉しい」
○…美術や絵が好きで幼い頃に感動した風景などをよく覚えていたという。「文学も好きだった。きれいなものや美しいものに対して敏感な子だった」と少女時代を振り返る。銀行に就職後、結婚。子育て中も都内の画廊を子どもを背負って回るほど美術鑑賞が好きだった。俳句を始めたのは46歳の頃。子育てが一段落し、自分も絵を描いてみようと俳画を習い始めたのがきっかけ。「絵を描いた後、先生の見本の句をいつも写していたけど、自分で考えたものをいれてみたくなって」
○…パソコンや携帯電話など機器類は苦手。「俳句はノートとペンと歳時記さえあればどこでもできる。手軽でしょ」とほほ笑む。日々の生活の中で心が動いた瞬間に即興で自分の気持ちを表現するのが俳句の醍醐味と考えている。「俳句を詠むことは、自分と向き合うこと。命がなくなる日まで楽しみたい」
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3月29日