戦争遺跡を通じて平和について考えてもらおうと、「登戸研究所保存の会」が編集を手掛けた書籍「ひみつにされた登戸研究所ってどんなとこ?」が先月24日、発行された。地元の歴史を伝える資料として小中学生を対象に配布するという。
登戸研究所は戦時中、現在の明治大学生田キャンパスの敷地内一帯に建てられた旧日本陸軍の秘密研究所。細菌兵器や風船爆弾が作られたほか、相手国の経済を混乱させるための偽札作りが行われていた。
戦後も秘密にされていたが、80年代から市内の高校生や市民が調査を進め、実態が少しずつわかってきた。06年には「登戸研究所保存の会」が発足され、戦争遺跡としての保存を訴えてきた。施設の大半は解体されたが、10年に明治大学が「平和教育登戸研究所資料館」を開設した経緯がある。
保存の会ではこれまで、研究所の歴史をまとめた書籍2冊を発行しているが、いずれも大人向けの内容。「資料館には中高生が見学に来ることも多いので、子どもでも読みやすい資料づくりが求められていた」という。
書籍はA4判で全48ページ。小学生にもわかりやすいようにイラストを多用した。当時の研究所で働いていた人や周辺に暮らしていた人の証言を集め、爆弾づくりの実態から当時の街の様子や住民の暮らしぶりを伝えている。研究所で働く前に憲兵による身元調査があったり、風船爆弾を見かけても見ないように指示されたりといったエピソードも紹介されている。
編集を担当した保存会の今野淳子さんは「自分たちの住んでいる地域の歴史を知ってもらい、平和についても学んでもらえれば」と話す。
5000部印刷され、書店で流通する分を除いた3000部は資料館を見学に訪れた川崎市立小中高生を対象に贈呈する予定。市立小中学校や図書館にも寄贈するという。本の定価は864円。発売は株式会社てらいんく(麻生区/【電話】044・953・1828)。
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