国際競争力の強化を目指し、「横浜川崎国際港湾(株)」(横浜市中区)が先月、横浜市の100%出資で設立された。横浜港と川崎港のコンテナターミナルを一元的に管理運営し、効率性を高める。本格的な業務開始は4月頃を見込む。
アジアのハブめざす
横浜港には自動車や石油類、穀物などの在来荷物を扱う埠頭とコンテナ用埠頭がある。新会社は、国際競争が激化するコンテナの取扱いにおいて、アメリカやヨーロッパなど主要地域とアジアをつなぐハブ港としての機能強化が目的だ。
横浜港のコンテナ取扱個数順位は、1980年に世界13位だったのに対し、2014年は48位に低下。ライバル視する韓国の釜山港は2014年には6位と大きな差がついている。アジアにおける大型コンテナ船の寄港地になることは、主要国との間に基幹航路を持つことを意味し、日本の国際競争力強化、また安全保障面でも重要だという。
国は2010年、阪神港と並んで京浜港(横浜・東京・川崎)を「国際コンテナ戦略港湾」に選定。その後、法改正により公社などが担ってきた港湾運営を民営化できるようになった。
横浜市は12年、ニーズへの即応性を高め柔軟な対応ができるとして、横浜港埠頭公社を株式会社に。東京・川崎も同様に株式会社化。3港の各社が担ってきた埠頭の管理運営を一元化し、コスト抑制など入港船のメリットにつなげようと、一つの港湾運営会社設立に向け協議が重ねられてきた。
今回設立された会社は、こうした動きに沿ったもので横浜港埠頭(株)からコンテナ埠頭の管理運営部門を分割し新設。横浜・川崎へのコンテナ船誘致などポートセールスも行う。資本金2億3千万円、資本準備金2億2千万円の計4億5千万円で、横浜市の100%出資。国の「港湾運営会社」指定後(3月予定)は、国と川崎市、民間企業等の出資を受け10億円規模に。横浜港埠頭(株)はコンテナ以外の埠頭管理運営を担う。
社長には国際海運の動向に精通した日本郵船出身の諸岡正道氏が就任。日本人初の国際海運会議所(ICS)会長を務める諸岡氏は「日本港湾の復権と横浜港・川崎港の国際競争力の強化に向け、関係者と一丸となり全力で推進していく」とコメントしている。
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