川崎市は8日、2016年度の当初予算案を発表した。一般会計は過去最大の6390億円、特別会計と企業会計をあわせた総額で1兆3880億2599万円となった。
歳入の根幹である市税は、納税者数の増加を背景に3015億円を見込み、初めて3千億円を超える。一方で建設事業などの財源を調達するための借金である市債は対前年度で76億円増の592億円となった。
一般会計の歳出のおよそ5割が人件費や生活保護費、児童手当といった扶助費などの義務的経費で財政の硬直が続く。中でも扶助費は対前年度で98億円増の1680億円と当初予算の4分の1以上を占める。
事業別でみると、子育て関連では、待機児童解消の継続に約464億円を計上。認可保育所の受け入れ枠の拡大を図るほか、病児・病後児保育施設を増設する。さらに、慢性的に不足する保育士を確保するため、300人分の家賃補助を新規事業として行う。ほか、小児医療費の助成対象を小学校3年生まで拡充させるための費用として約40億円、中学校完全給食の推進費用には約8億4千万円を充てる。
超高齢社会に対応する費用として約57億円を計上した。各区で地域包括ケアシステムの強化を図るほか、介護予防・日常生活支援総合事業を新たに実施する。また、特養ホームの整備などに取り組む。
貧困対策では生活保護受給世帯の子ども学習対策支援対象を中学校3年生から中学校1、2年生までに拡充させることや生活保護者への就労準備支援に約2億5千万円を充てたほか、簡易宿泊所に居住する生活保護受給者に賃貸住宅への転居支援などにも取り組む。
治安維持では防犯カメラの設置支援や路上喫煙、客引き行為の防止の対策などに約7億4千万円を計上。
また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みを強化するほか、市役所本庁舎の建て替えや渋滞対策のための交差点改良費の拡充、臨海部を活性化させるためのPR推進予算も増額した。
予算案は15日から始まる市議会に提案される。
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