さまざまな事情で保護者と生活できない子どものための「里親制度」について、川崎市の里親への委託率は約21%(1月1日時点)であることが、本紙の調べでわかった。全国平均の16・48%(15年3月末時点)を上回る数字だが、市と里親支援のNPO法人によると、里親の「質」の向上に向けて、継続的な里親支援が不可欠だという。
里親委託率は養護が必要な子どものうち、里親やファミリーホームのもとで暮らす子どもの割合を示す(=表参照)。川崎市の12歳以下の人口はおよそ16万人で、施設や里親のもとで養護を受ける児童数は計375人(1月1日時点)。そのうち里親委託児童が65人で、ファミリーホーム(小規模住宅型児童養育事業)に委託されている児童は13人となっている。
里親委託率の現況に対して市は15年3月、児童の社会的養護を推進するための基本方針を策定。今後15年で、社会的養護が必要な子どもの3分の1(約33%)を里親、ファミリーホームで支援する方針を示す。
だが、里親に登録しても養育に結びつかない現状もある。その原因として、里親の高齢化をはじめ、虐待を受けたことがある、または障害のある子どもとのマッチングがうまくいかない――といった事情が挙げられる。
市は「子どもが安心できる家庭環境で過ごせるように、里親とは継続的に面談してマッチングを図っている」という。
質向上がカギ
また、川崎市内で里親支援を行っているNPO法人「キーアセット」の担当者は、「数字だけでなく質の向上も大切」と話す。
里親は、子どもが持つ実の親への思いや生い立ちを受け止めていく必要があるという。同法人は里親同士で悩みを共有するサロンの開催、定期的な家庭訪問などを実施し、サポート体制を整えている。「どの子どもも家庭で育つことが求められている。里親には入口から出口まで一貫した支援を行っていきたい」と話している。
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