「中小企業、ファミリー企業(小規模企業)、ベンチャー企業のお役に立ちたい」と熱い口調で語る、川崎商工会議所第12代会頭に先月再任された山田長満氏。本紙では2期6年の実績を踏まえ、3期目のかじ取りを任された山田氏に、目指すべき目標、具体的な取り組みなどを聞いた。(聞き手/本紙・原田一樹)
――川商としては4人目の、3期目の就任。議員一致の推薦と承認があったという評価のポイントは。
「推薦いただいた声としてはいくつかありますが、中でも今年4月1日施行された『川崎市中小企業活性化のための成長戦略に関する条例』の実現への評価が大きいと聞いています。この条例は地元企業の活性化のため、川崎市の責務や、企業者、関係団体、市民らの役割を定めることで、中小企業の活性化を促し、市民生活の向上につなげていくものです。施行に向けては座長となって、業界代表者や学識経験者だけでなく消費者団体を加え、オール川崎で取り組み、条例の条文までも作成し、市に要望しました。市議会でも全会一致で承認していただいた内容です。また会頭としての2期6年に、副会頭としての6年を加え12年間、研究を重ねて温めてきたものでもあり熱い思いもあります。そこを認めていただいたと思います」
――3期目の目標は。
「川崎のGDPを6兆円にすることです。現在の川崎のGDPは5兆円超でおよそ国の1%、日本政府が掲げる600兆円に合わせてその1%の6兆円を目指します。経済人、産業人自らが個人消費を促す製品、商品、サービスを生み出し、東京、横浜の通過点ではなく、中心の川崎市として、神奈川、東京、合わせて2000万人のニーズに応えることで実現させたいと思います。商工会議所はその経済活性に取り組む事業者とともに考え、汗をかく拠点として機能強化、会員サービスの向上を進めていきます」
――具体的な取り組みは
「先ほどの条例は理念条例ではありません。2期目までは助走で、3期目が実行の時。オール川崎でPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルとして進めていきます。
また、市、県はもちろん、大学や各種団体との連携強化を進め、活動の充実につなげていくことも必要です。新たに『後継者問題』『国際成長戦略』『医療機器開発』『スポーツ・健康』『フードビジネス』『未来産業開発』の6つの会議を設置し、関心のある企業を集め、ともに考え発展する機会の創出も考えています。
7区に設置した支所では地域の事業主の皆さんに『下駄ばき』で気軽に何でも相談できる場所として今まで以上に機能強化を進めたい。交流会、セミナーの開催、地域団体との連携強化も進めていきます。その他、業種ごとに分かれている部会会員による事業強化や創業支援、海外展開支援、起業家の育成、また国、県、市への提言、要望活動の強化などを図っていきます」
――最後に、市民へのメッセージを。
「私自身も多摩区に50年住み、仕事をしています。その中でさまざまな中小企業の経営を自ら汗を流し進めた経験があります。だからこそ中小が持つ魅力や厳しさ、楽しさ、つらさを実感としてもっています。また、市内の事業所の99%、従業員の75%は中小企業であり、市民の生活基盤となっています。この活性化こそが『日本一働きたい、住みたい川崎』の実現に直結するものと考え、会員の皆さんとともに力を尽くしていきたいと思います」
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