長年「工芸盆栽」づくりに取り組み、緑化センターで作品を展示した 栗谷 嶺子さん 宿河原在住 79歳
本物以上の草花求め
○…布や針金を使い本物の盆栽そっくりに作られた「工芸盆栽」に魅了され、約50年作り続けている。先日、市緑化センターで開かれた展示会に作品を展示した。現在は、近所の人に教えてほしいと頼まれて始めた教室のほか、市国際交流センターで日本文化の紹介を兼ねて外国人に工芸盆栽づくりを教えている。「喜んでもらえると嬉しい。質問に答えるうちに、もっと勉強しなきゃと思った」
○…幼い頃から花が好きだったため、学生時代に生花草月流師範免状を取得。結婚し、子育てが一段落した30代の時に「うるさいおばあちゃんになりたくない」と趣味として始めた。当時は今のような材料はなく、おがくずを炒って土に見立てたり、生花から型紙を取ったりと、本物らしくみえる創意工夫をしてきた。「どうやったら本物に近づくか試行錯誤の時間も楽しい。苦しいときもあるけど、できた時の達成感が嬉しい」
○…工芸盆栽づくりにのめり込んで数年経った頃、誰にも言わずに出品した五葉松が毎日新聞社賞を受賞。その後も作品展で外務大臣賞や文部大臣賞など数々の賞を受賞した。「びっくりしちゃって、実感はわかなかった。黙ってたら、生徒さんたちになんで言ってくれないのって怒られちゃって」と笑いながら当時を振り返る。作品を評価されるようになり、三越やホテルオークラ、西武デパートなどで作品が展示されるうちに「作品を売ってほしい」という人も現れたが、それとなく断ってきたという。「作品は魂が入っているものだから、お金には変えられない。飾るならお貸ししますとお伝えしてきた」
○…謙虚な姿勢と感謝の気持ちを忘れない。夫の「自分みたいなところによくぞ習いに来て下さる、という気持ちがあるうちは続けていいんじゃないか」という言葉が指標になっているという。「こんなに続くと思わなかった。褒められると嬉しくなっちゃって。皆さんが助けてくれたおかげ」
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3月29日