情報技術を活用した農業支援ビジネスを展開する(株)ルートレック・ネットワークス(麻生区)が、農業向けIT技術の周知などを目指した団体を設立した。IT関連企業らによる課題解決に取り組む新たな試みには、川崎市や日本マイクロソフト(株)も実行委員会に名前を連ねている。
同社の佐々木伸一社長らが創設した「できる・agri」(できるドットアグリ)プロジェクトは新しい農業の姿を広く紹介し、生産者が抱える課題を解決していこうとする取り組み。「ITで農業の『できる』をもっと。」というコンセプトを掲げ、IT技術を活用する農家をウェブサイトで紹介。モデル農家らと全国をめぐるキャラバンの実施も予定している。
発起人は同社に加え、ネットスーパーを展開するオイシックスドット大地(株)、ITを活用する農業生産法人の(株)GRA、インターネットメディア70Seedsの4社。ルートレック・ネットワークスは農作物の生育情報を数値で割り出し、水と肥料を自動供給する次世代養液土耕システム「ゼロアグリ」を13年から販売している。
高齢化対策に一役
高齢化や担い手不足といった農業課題に対応するシステムとして普及を進める中、同社は農家のIT利活用に対する抵抗感などに直面。今回のプロジェクトは「現役の人たちの高齢化などで農業人口が減少する中、ITの力で農業の押し上げに貢献したい。成功事例の紹介などでまずは技術を身近に感じてもらう必要を感じた」(佐々木社長)という思いがきっかけとなっている。今後予定している全国キャラバンに関して「賛同してくれた川崎市でも企画したい」と話す。
川崎市経済労働局の関係者は「川崎の農業は後継者問題などの課題がある。IT技術の活用でこれまでの農業経験値を新たな栽培で反映させたり、効率化などにも有益な取り組みとして支援していきたい」と期待を寄せている。
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