「ふるさと納税」による川崎市の2017年度の減収額は、税制変更の減額を含め約30億7千万円に上り、16年度の約12億8千万円を大きく上回った。18年度も約39億円の減収を見込んでおり、市は寄付先の選択肢を増やすなど対策を急いでいる。
同制度では、故郷に貢献したいという納税者のために、応援する自治体に対して寄付金を納めると住民税と所得税の一定額を軽減する。
市には「川崎市ふるさと応援寄附金」があるが、17年度は他自治体への寄付による住民税の流出額が約23億7千万円だった。税制変更で市に移管された県の交付金に、県のふるさと納税減収分が含まれており7億円が減額され、合計で約30億7千万円の減収となった。
一方、17年度の寄付の受け入れは177件、約5千万円にとどまった。公表事例で1円から1千万円まであり、市動物愛護センターへの支援が最多だった。市は今年度の減収額が約39億円に膨らむと見込む。これは、保育園の運営費(人件費や清掃代、光熱費)に換算すると園児2400人分にあたるという。
市は寄付金の用途にあたる選択メニューに「日本民家園の古民家等の保存・整備の推進」など7項目を追加し、29項目に増やした。返礼品は寄付10万円以上に限り感謝状の贈呈、生田緑地関連グッズの記念品などがあったが、金額に応じた記念品を増やし、日本民家園の招待券や年間パスポートなどを盛り込んだ。
項目の一つ、御幸公園(幸区)の梅林復活事業では、寄付5万円以上に対し、返礼として梅の植樹が行える。寄付をした市民の一人は「地元の公園に自分の手で木を植えることができて嬉しい」と思いを話す。一方で「手続きなど手間がかかる割に、返礼品に魅力がない」との声もある。
市は「制度自体の浸透により、他自治体への寄付に歯止めをかけるのは難しい。川崎市に対する支援の気持ちを少しでも広く受け入れられれば」としている。
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